“蕎麦屋酒”の著者がプロ顔負けの美味探求

第379回
本物の味を知るには

宝石屋の新人教育として、興味深い話を聴いたことがある。
常識的に考えると、
よく成田空港などに展示されているように、
本物のブランドとそれを真似た偽物を並べて、
どのように違うかを教えることを思いつく。
しかし、その宝石屋では偽物は一切見せない。
しばらくの期間は本物だけを見せるというのだ。
そうすると、偽物は何か違うということが
すぐにピンとくることになるらしい。

これは、確かに一理ある教育方法だ。
オーディオでも、自動車でも嗜好品をグレードアップすると、
よくなったのは分かっても、
大きな差異までは感じられないことがよくある。
ところが、それから以前聴いていた、
あるいは、乗っていたものを再度体験すると、
どうしてこんなにひどい品質で我慢していたのかと、
差異をよく感じる。

これは味の世界でも同じで、
普段まずいものを食べていると、
せっかく美味しいものを食べる機会があっても、
その違いが明確には評価できない。
本物の味だけを食しつづけてこそ、味の違いが分かってくる。
我が家でも昔は本物の調味料、食材を使うことを、
値段が高いといって渋っていた妻も、
いまでは通常の添加物いっぱいの調味料、食材は
受け入れなくなっている。

日本酒でも同じこと。
いい造りの本物の純米酒ばかり飲んでいると、
銘柄名だけが先行している若飲み向けの地酒は、
飲む時間を損しているように感じてしまう。
特にカプロン酸の吟醸香がぷんぷんしている酒は、
身体が病気になってしまうのではないかとさえ感じてしまう。

このように本物の食材や本物の調味料は特別なものかというと、
そうではない。
最近ではスーパー、デパートなどでも、
本物の食材、調味料をそろえるところが多くなってきている。
旬を考えながら、いいものを選んで行けば、
日常の生活のなかでできることだ。


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2006年2月9日(木)

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