“蕎麦屋酒”の著者がプロ顔負けの美味探求

第392回
銀座で初めての海草を体験

蕎麦業界の勉強会の講師を依頼された。
日本酒と料理の相性について講演をしながら、
実際に酒と料理を愉しむという企画だ。
どこの店にするかということも、こちらに任されたので、
色々と考えたすえに、
日本酒と魚が旨い割烹である、銀座「こびき」を選択した。

酒の出し方、料理の選択などの、
事前の打ち合わせに一人で「こびき」を訪問した。
小田原漁港にその日の朝に上がったヤリイカの刺身、
本シシャモ焼き、カワハギの照り焼き、牡蠣雑炊をいただいたが、
相変わらず旨い。
ヤリイカは新鮮だが、旨みも十分でている。
本シシャモはメスで、卵のプチプチ感がなんともいえない。
カワハギに至っては、照り焼きにすると旨みが殺されるのでは、
という疑問を払拭する旨さ。
醤油と味醂が逆に旨さを上手く引き出している。
骨の周りまでしゃぶりついてしまった。

合わせた日本酒は、宗玄3種類。
にごり酒、純米無濾過生原酒「八反錦」、
純米無濾過生原酒「山田錦」。
それに、秋鹿「山廃雄町70%」、初駒純米無濾過生原酒。
いずれも魚によく合う。
このときに、調理場からです、とサービスで小鉢がでてきた。
綺麗な緑色の海草の酢の物だった。
細い麺状になっていて、しゃきっとしていて、とても食感がいい。
海草臭さが少なく、とても上品な味わいと香りだ。

能登でとれた「ナガモ」という海草とのこと。
モズクよりも、シャキシャキ感は強い。
これは、東京湾で絶滅しかけているアマモと同じものらしい。
アマモは三番瀬などで藻場という大群生を形成し、
様々な魚の産卵場所、稚魚の成育場所となっている。
また、窒素やリンを吸収して、海水を浄化する作用もあり、
湾の環境維持に重要な役割を果たす。
これだけ旨い海草が、
海を綺麗にして、魚を守っているということを知って、
さらに嬉しくなった。


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2006年2月28日(火)

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