“蕎麦屋酒”の著者がプロ顔負けの美味探求

第415回
ハレの日の外食

誕生日に妻がご馳走してくれるという。
いろいろ考えて、新橋「鮨処 しみづ」を選択。
今頃は冬の間は豊富だった鮨ネタが少なくなり、
鮨屋にとって一番難しい時季だ。
しかし、二枚貝は今が一番旨い。
もう少したてば、鮑などの巻貝も旨くなるが、
まだ早くしみづでは置いていない。
最初から握ってもらう。
もちろん最初から燗酒と合わせる。
周りの客は、最初は鮨ネタを切ってもらって、
ビールか日本酒と合わせてのんびりと食べている。
妻がつまみを食べなくていいかと聞いたので、
周囲に聞えないように小声で、
鮨ネタは酢飯の上に乗ってこそ旨いことを説明する。

親方から、私がこのコラムを書いていることを、
つい先日知った旨を聞く。
少し前の江戸前の話を、
常連が面白い記事があったと持ってきたようだ。
親方との会話が鮨をさらに旨くしてくれる。
今回は、蛤はもちろん旨かったが、トリ貝が秀逸。
張りのある貝の身をシャキっと噛むと、
なかから甘みとほろ苦さがほどよく調和して溶け出してくる。
酢飯の酢の味がその旨みをさらに倍加させる。

鮪は冬の時季ほどの深みはないが、
逆に軽くさっぱりとした新鮮味を感じる。
平目昆布〆、鯛、穴子、平貝、スミイカ、
コハダ、海老など愉しんで、最後に干瓢巻。
干瓢は強めに味付けしてあり、
親方が炭火で炙っている海苔の香りとよく調和して、
まさにフィナーレ。

妻が勘定をしてくれて、気持ちよく「鮨処 しみづ」をあとに。
せっかくなので、もう1軒いこうと、
銀座「バーヒース」を選択。
その理由は、旨いシングルモルトがそろっている
ということもあるが、
オーナーバーテンダーの大川さんの人柄のよさ。
妻も気に入るに違いないと考えたら、案の定であった。

誕生日の会話がはずんだ夜だった。


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2006年3月31日(金)

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