“蕎麦屋酒”の著者がプロ顔負けの美味探求

第414回
極上の日常食卓

鶏ガラ、タラ、鰤を湯引きするのは、
雑味や生臭さをおさえるため。
上品な香味を演出するためにかかせない工程だ。
鰤大根は、湯引きした鰤と下茹でした大根を
昆布も合わせて一緒に煮込む。
煮汁は水5、酒1、醤油1、味醂1の割合にしている。
しかし、今回は「九重櫻」の味醂を切らしていたのに
気がつかなかった。
いろいろ台所のなかを探して、讃岐三盆を発見してほっとする。
これは、以前に悦凱陣を醸している
琴平の丸尾本店を訪問したときに買っておいたものだ。
香川県で作っている和三盆で、上品な甘さが特長。
普通の砂糖を使うとベタベタした仕上がりとなることが多いが、
これを使えばさっぱりとした甘みに仕上がる。
甘みは強くしたほうが、素材の味が引き出せるので、
少し多めに入れる。

今回は二人分と食材の量が少なかったので、
鍋はフライパンを使用した。
これなら、鰤と大根を重ねずに並べることができて、
鰤の味が大根に移りやすい。
服部栄養学園の中山先生から教わった煮かたはまず強火。
沸騰したら中火にして落し蓋を乗せ、
汁が食材の上まで勢いよくまわるようにする。
汁が3分の1程度になって、
大根に串がすっと通るようになれば完成。
湯豆腐は最初に昆布を水から煮て、
沸騰したら昆布は取り去り、そこに椎茸とタラを入れて煮込む。
それから豆腐を入れて少し火を通せばできあがり。
茶碗に醤油を入れ、そこに湯豆腐の煮汁を混ぜて、
それを鍋の中央に置く。
これで豆腐のつけ汁の温度が下がるのを防げる。

砂肝蕎麦雑炊は、まず丸抜き(蕎麦の皮を剥いた実)を茹でておく。
蕎麦は灰汁が多くでるので、
3回ほど水から茹でて、湯でこぼすことを繰り返す。
汁は、鶏ガラ出汁を醤油と讃岐三盆で味付けをしておいて、
それに周りだけ軽く炒めた砂肝を入れ、軽く煮ておく。
そこに、茹でこぼした蕎麦の丸抜きを入れて完成。
妻が帰ってきて、夕食の開始。

まずは鰤大根。
生臭さを全然感じない上品な旨みに妻もすっかり満足した。
大根自体の甘さ、辛さに鰤の味わいがすっかり調和している。
湯豆腐もタラと椎茸の味が豆腐に浸み込んでいて、
とてもいい味になった。
さすがに宮城屋の豆腐。
大豆の甘みがなんともいえない。
砂肝蕎麦雑炊は妻が一番感激していた。
出汁の旨みに、粘りがなくサラっとした食感の
蕎麦の実の甘みがよく調和している。
それに追い討ちをかけるのが、
砂肝のしゃきっとした歯ざわりと旨み。
口のなかに幸せがいっぱいひろがる。
さすがに、馬頭で自家栽培した蕎麦は
濃い味で砂肝にも負けていなかった。

極上の食材を使った至福の食卓に、妻はすっかりとご満悦。
いくらかは、日ごろ好き勝手をやらしてもらっている
お詫びになったようだ。


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2006年3月30日(木)

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