“蕎麦屋酒”の著者がプロ顔負けの美味探求

第421回
椎茸栽培も奥が深い

馬頭には約束の10時少し前に到着した。
栃木県からの参加者4名も含めて、総勢10名がそろい、
いよいよ椎茸の原木栽培を開始することになった。

まずは、農家のTさんの指導を受ける。
原木は150本ほどTさんが、
今年の1月に自分の山の小楢を切り出してくれていた。
小楢は皮がしっかりしていて、原木栽培に適している。
何故1月に切り出しているかというと、
木が休んでいて、切られたことが分からないから。
春になって、元気になると水を吸いだして、
皮が剥けやすくなるので、
椎茸栽培の種を植え付けるのには適さないという。

その小楢は1mくらいの長さに切り揃えられていて、
太さは10cmくらいの細さのものから、
30cmくらいの太いものまで様々だった。
その1本1本にドリルで数箇所の穴を開け、
種コマという椎茸の菌を繁殖させた
円柱の木片を打ち込んで行く。
穴は原木の軸方向には15cmくらいのピッチをとり、
円周方向には10cmくらいの間隔で、
隣の穴の列とは千鳥にずらして開けていく。
種コマは傾斜(テーパ)がついていて、
直径の小さいほうを穴に挿してハンマーで打ちつける。

農家のTさんは手早くドリルの穴あけと、
種コマの打ちつけの実演をしてくれたが、
これが始めてだった我々は慣れるのが大変。
原木の表面は必ずしも滑らかではなく、起伏もあるので、
一定の間隔で穴を開けるのは結構難しい。
また、太さが30cmにもなれば、
ドリルを持っていない片方の手で支えるのも大変だ。
しかし、30分もすればだいぶ慣れてきて、
150本ほどの原木は2時間で作業を完了させることができた。
使用した種コマは3000個準備してあったものが、全て消費された。

種コマを打ち終えた原木は、
林の中の土の上に並べて2段くらいに積んでいく。
これを5月下旬頃まで置いておいて、
その後は立てることになる。
何故、最初は寝かしておくかというと、
立てると乾燥しすぎて、椎茸菌が参ってしまうから。
5月下旬になると、梅雨の季節に近くなるので、
空気が湿ってきてほどよい湿気を原木に与えるようになるという。
なるほど、
日本の季節を巧みに利用した栽培技術があるものだと、感心。
椎茸栽培も奥が深い。


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2006年4月10日(月)

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