“蕎麦屋酒”の著者がプロ顔負けの美味探求

第433回
しゃぶしゃぶも部位によって違う

カウンターのなかの焼き台のすぐよこに鍋が火にかけてあり、
そこで、しゃぶしゃぶを作ってくれる。
最初に提供されたのは、舌(タン)しゃぶ。
さっと鍋の出汁で火を通して、
ワケギなどの野菜をはさんで、
カウンターの小皿に取り分けてくれた。
焼いたものとはまた違った上品な甘みが心地よい。
次がシビレしゃぶ。
シビレ焼きよりは柔らかいが、コリコリした食感は変わらず、
噛むほどに脂の甘みが肉の旨みに加わって、口のなかに溶け出す。
適度な温かさが旨みをさらに押し上げている。
まさに絶妙な火の通し方。

これまで、相当な数に牛肉のいろいろな部位を食べていて、
お腹は相当張っていた。
しかし、通常のロースやヒレ肉のしゃぶしゃぶとは
全然違った味わいに、身体が嬉しがり、胃が大きくなったようだ。
最後のしゃぶしゃぶは、ギアラ。
焼きギアラの野趣味とは違い、
繊細で全体に旨みのバランスがとれている。
火を通すことによって得た甘みを愉しんでいるうちに、
柔らかく崩れてきて、脂の旨みが追いかけてくる。

これだけの牛の部位を色々な調理方法で愉しんだのは
初めての経験だった。
このような新鮮な和牛の色々な部位をどこかで入手して、
ぜひ自宅でもやってみたい、と密かに思っていると、
仕上げのラーメンとなる。
ラーメンはしゃぶしゃぶ鍋に麺を入れてちょっと火を通して、
しゃぶしゃぶ汁に浸かった状態で提供される。
これがまた絶品。
街場のこだわりのラーメン屋などとは比べようもない旨さ。
特に出汁の旨さは特筆もので、繊細だが深みのある味わい。
食べ終わったあとには、いつまでもその旨みの余韻が続く。

デザートは胡麻アイス。
芳醇な胡麻の味が、これまで食べてきた牛の味を邪魔していない。
「和牛料理 さんだ」は、和牛の部位の色々な味わいが愉しめた。
その違いは極めて繊細で深いものだ。
この店は、脂のサシが入っている
高級ステーキを好む食べ手には理解できないかも知れない。
また、臓物と聞いただけで気持ち悪くて食べられない人は
行かないほうがいいだろう。
しかし、ヒレ、ロース、イチボなどの
通常の牛肉だけでは満足できない本当の牛好きには、
まさに天国だ。


←前回記事へ

2006年4月26日(水)

次回記事へ→
過去記事へ 中国株 起業 投資情報コラム「ハイハイQさんQさんデス」
ホーム
最新記事へ