“蕎麦屋酒”の著者がプロ顔負けの美味探求

第482回
穂高美食紀行

拙書「蕎麦屋酒」「世界一旨い日本酒」では、
いろいろな料理屋を紹介している。
その料理屋のご主人から、
私の本を読んで客が来てくれたという話を告げられると、
とても嬉しくなる。

人数が多いことよりも、
「来た客が気に入ってくれて何度も通うようになった、
 それが雑誌などの掲載と違う」
と言われると、これ以上の満足はない。
料理屋を本で紹介するときには、
そこのご主人の考え方、店のよさが
読者に理解してもらえることを最大の狙いにして執筆している。
その意図が伝わったからだ。

先日行った穂高出張でも、
2軒の料理屋から掲載情報をもとに
お客様が来た旨の感謝を受けた。
その1軒は「蕎麦屋酒」で紹介した「大梅」、
もう1軒は「世界一旨い日本酒」で紹介した
割烹居酒屋「えびよし」。
今回は昼に「大梅」、夜に「えびよし」に寄ることになった。

「大梅」はあいかわらず快適な空間。
早速ご主人、女将さんと目があって、微笑あう。
今回は、十割蕎麦を鴨汁でいただき、
おかわりを二八のせいろにした。
今回は仕事の打ち合わせの直前ということで、
残念ながら昼酒はなし。
蕎麦はあいかわらず絶好調。
十割もせいろも玄蕎麦から製粉したもので、
相当黒いことはかわりはないが、
十割のほうがだいぶ太めに打ってある。
蕎麦の味わいがどんと口のなかに入ってくるようだ。
二八のせいろは、細打ちで、しなやか。
食感がとてもいい。
ともに風味も満点。

帰りがけにちょっと女将さんと話をしたら、
「蕎麦屋酒」を持って来訪する客が結構多いという。
長野は蕎麦処と言われていて、
蕎麦屋の数は多いが、本当にレベルの高い蕎麦屋は少ない。
「大梅」は駒ヶ根高原の「丸富」とならんで、
稀少な美味しい蕎麦屋だ。

夜の「えびよし」も相変わらずいい仕事をしていた。
最初に出た馬刺しが秀逸。
熊本の馬刺しに比べて、
これまでの長野の馬刺しはあまりいい印象を持っていなかったが、
今回のもので認識を新たにした。
繊細な脂がとても旨い。
ユキザサという山菜のお浸しもとても旨かった。
嫌みなエグミは全くなく、
それでいて、野性を感じさせる力強さを持っている。
寒い気候のところに群生するので、
今頃のものは山の上のほうの、
まだ雪が残っているあたりで採れたものではないか
ということだった。

「えびよし」でも、
「世界一旨い日本酒」を見てくる客が
いろいろと来ているとのこと。
このあたりで、本格的な割烹は少ないので、この店も稀少だ。
穂高に来るとワンパターンの食べ歩きになっているが、
それでも新鮮な体験が待っていてくれる。
他にも行きたい店はいろいろあるのだが、
なかなかこの2軒ははずせない。


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2006年7月4日(火)

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