“蕎麦屋酒”の著者がプロ顔負けの美味探求

第484回
壱岐の特産「がぜ味噌」を堪能

真菜板でしばらくして、待ち合わせしていた女性二人が到着。
一人は渋谷でベンチャーを展開している女性企業家のJさんで、
地域産品のイメージ戦略やPR活動などをしている。
もう一人は、その渋谷の女性社長の毎月快哉するサロンとして、
壱岐の食材の会に参加したが、
そこに会った壱岐料理修業中の女性。
お二人とも日本酒が好きで、
この世界をもっと深く知りたいというので、真菜板にお誘いした。

そこで、壱岐料理修行中の女性が持ってきたのが、
壱岐の特産「がぜ味噌」。
「がぜ」というのは馬糞海胆のことで、
この馬糞海胆と味噌をお湯で炊き合わせ、砂糖で味付けしたもの。
茶褐色のねっとりとしたものを口に入れると、
ちょっと甘めの味わいがまず感じられる。
そして、その次に海胆の味わいが
味噌に押さえられながら口の中に広がってくる。
このお互いに押し合いながら
味の主張がじんわりと伝わってくるのがとてもいい。

合わせたのは、開運ひやづめ。
開運のはんなりとした米の甘みが、
「がぜ味噌」の甘みと調和して、
口のなかが幸せの二乗になってくる。
海胆と味噌の相性がこれほどとは、これまで想像もしていなかった。
「がぜ味噌」に白影泉のようなコクのある
複雑味の燗酒もよくあった。
まずは、「がぜ味噌」を口に含む。
なくならないうちに、燗酒を口のなかに注ぎ込む。
「がぜ味噌」が酒でゆるみ、
酒の旨みの中に「がぜ味噌」の甘みが溶け合ってくる。

これから利尻・礼文のエゾバフン海胆も旬になってくる。
新鮮なものを送ってもらって、
自家製の「がぜ味噌」を作ってみるのも面白いかもしれない。
しかし、そこまでやる前に
生のまま食べてしまいたい衝動は抑えることが難しいので、
この珍味を作るのは無理かも知れない。


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2006年7月6日(木)

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