“蕎麦屋酒”の著者がプロ顔負けの美味探求

第508回
天然鮎の個性に感嘆の声

いよいよ、天然鮎の塩焼きが提供された。
最初は揖保川。
最上川の養殖鮎より、苦味がはっきりと強い。
かなりな大ぶりな姿だが、味は繊細。
これには、奥播磨の燗を合わせる。
下村酒造店は揖保川のすぐ近くにある。
奥播磨の複雑な旨みが揖保川の鮎の苦味とよく調和する。

次が仁淀川の鮎。
こちらは揖保川よりは苦味が幾分弱いが、味が繊細で上品。
これには、同じ四国の悦凱陣をあわせる。
悦凱陣の厚みのある旨みが、
仁淀川の鮎のバランスのよい味わいとよく調和している。
仁淀川の鮎が、どこかで食べた味わいだと考えていたら、
四万十川の鮎を思い出した。
同じ高知ということでもないのだろうが、何か似た上品さがある。

最後の天然鮎が熊野川。
こちらは、京都の「乃し」を
夏に訪れるときに気に入り、とり始めた。
「乃し」の矢口さんは和歌山の出身なので、
和歌山県の食材をよく用いる。
熊野川の鮎は、
最近の「天然鮎を食べ比べる会」で常連になりつつある。
熊野川の鮎は骨格がよく、立派な姿。
頭からかぶりつくと、脂の旨みを感じる。
内臓の苦味には、するどい切れ味があり、
噛むと、その1点から苦味がにじり出てくる。
こちらは、同じ紀伊半島の三重県「るみ子の酒」の燗を合わせる。
「るみ子の酒」の熟成香味と熊野川の鮎の旨みがいい調和を見せる。
天然鮎が続けて提供される合間に、アスパラの天麩羅が供される。
口休めになる。

そして、鮎の骨酒。
今回は秋鹿山田錦80%を50度くらいに上げ、
揖保川の焼き鮎を落として蓋をして、20分ほど放置したもの。
鮎の香りが酒によく移っていて、とても美味。
最後が鮎ソーメン。
鮎の出汁がソーメンの麺にからまり、いい香りを奏でる。
これで、本当にお腹がいっぱいになった。

夏の風物詩の天然鮎。
今年も最高に旨い。


←前回記事へ

2006年8月9日(水)

次回記事へ→
過去記事へ 中国株 起業 投資情報コラム「ハイハイQさんQさんデス」
ホーム
最新記事へ