“蕎麦屋酒”の著者がプロ顔負けの美味探求

第541回
わざわざ寄りたい蕎麦屋、島田「藪蕎麦 宮本」

蕎麦屋のなかで、どこがベストかと質問されることがよくある。
本当にいい蕎麦屋は甲乙つけがたい、
いい個性があって、どちらも捨てがたいので、結構困る質問だ。
先日は昭文社「東京なんでもランキング」は、
ずいぶん悩んだものだ。

全国のほうがさらに難しい。
しかし、本当にベストの蕎麦屋を決めないと殺す
と脅かされたときには、
まずは数軒の蕎麦屋に絞ることになると思う。
そのなかには確実に入る孤高の蕎麦屋が島田「藪蕎麦 宮本」。
これは、単に蕎麦が旨いというだけではない。

宮本さんは、
もともとは藪御三家のうちの一つである池之端藪で修行。
マスコミに売れて知名度がとても高くなった
柏「竹やぶ」の阿部さんの兄弟子にあたる。
宮本さんの蕎麦に対する姿勢は真っ当で、とても共感ができる。
単に美味しい蕎麦を提供しようというだけでなく、
江戸の町に伝承してきた蕎麦という食文化を、
現代の蕎麦屋のなかで形にして客に伝えよう
という意識がとても高い。
そのなかで一番宮本さんが大切にしているものは、
江戸の「粋」。
蕎麦が美味しいのは当たり前。
それを、さりげなく提供し、努力している事実は前面に出さない。

そんな、「藪蕎麦 宮本」は、
本来なら、新幹線と在来線とタクシーを乗りついて訪問し、
昼から蕎麦屋酒というのがベストの選択。
しかし、なかなか伺うチャンスがなかった。

ある日、掛川で大学の学生フォーミュラSAE日本大会
という競技会が開催され、
わが芝浦工業大学チームも参加した。
この催しは学生たちがバーチャル企業を作って
レーシングカーの設計製作を行い、
それで実走行だけでなく、
設計やコスト、商品性などの評価を受けるもの。
わが大学チームは新参ながら、上位に連続入賞していた。

ところが、今回は決勝の日の耐久走行レースで、
最後に2周を残してガス欠でリタイア。
表彰式まで待たずに、午前中に帰ることになった。
学生には悪いが、これはまたとないチャンス。
帰りに東名の吉田インターチェンジで降り、
「藪蕎麦 宮本」に寄ることにした。


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2006年9月25日(月)

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