“蕎麦屋酒”の著者がプロ顔負けの美味探求

第550回
村さんの人生を変えた割烹

村公一さんは代々鳴門の漁師の家で生まれたが、
若い頃から、いまのように
高品質の魚を獲るための漁にこだわっていたかというと、
そうではなかったらしい。
ある出会いから劇的に変わったという。

その出会いが、このコラムでもよく取り上げている、
徳島の山奥にある割烹料理屋。
知る人ぞ知るという店で、固定客がほとんどだ。
たまに、メディアにも取り上げられることもあるが、
ご主人の岩本さんは、
派手なパフォーマンスの要求には決して答えない。
そんな対応をしているので、
メディアも継続して取り上げることをしない。
人に知れないことは常連としては嬉しいが、
この店を本当に理解できる美味しいもの好きには
ぜひ訪問してもらいたい。
現在執筆中の新書では岩本さんを紹介し、
店名、連絡先などを明かす予定だ。

村公一さんは岩本さんに出会い、
魚について一から教わったという。
そして開眼して、鳴門の古い漁法について、
引退した年寄りの漁師から聴いたり、
自ら色々な工夫を重ねて、現在の漁法・流通管理法を確立した。
村さんに言わせると、
この割烹に通いだして、
岩本さんがトツトツと語る魚や料理の話の一言一言に、
食の真実があり、それを自分なりに解釈できて、
漁師としての世界観形成ができてきた。
それだから、岩本さんは人生の師匠という。

その岩本さんの料理を初めて食べて、
私も自分の追い求める
「自然の恩恵をそのまま受ける美味しさ」が
現実にあることを知った。
岩本さんの料理はそれほど衝撃的だった。
派手さは全くないが、自然のいい食材を使い、
その食材本来の旨みが十二分に引き出されている。
以来、何度もこの割烹には機会を作って通っている。

今回も、今年2度目の岩本さんの料理であった。
岩本さんは私が過去に訪問したときに出した料理を勘案して、
訪問するたびに新しい食材や調理法のものを入れるように、
お品書きを考えてくれる。
今回も、初秋の旬の食材として、
何がでるかとても愉しみだった。
そして、もう一つの愉しみがあった。
岩本さんの息子さんが
最近徳島市に料理屋を出したことは前から聴いていて、
一度は息子さんの料理も食べたいと思っていたのだ。
そこで、ランチは息子さんのところで食べ、
夕食は岩本さんの本店で食べるという、
親子料理のハシゴをしてみることになった。

この息子さんの料理屋も、
食材は本店と同じものをシェアしているものもあり、
とても美味しいと評判になっている。
まずは、息子さんの店を昼過ぎに訪問。
徳島市内の小奇麗なビルの階段を登ると、
モダンな看板の店が待ち構えていた。


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2006年10月6日(金)

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