“蕎麦屋酒”の著者がプロ顔負けの美味探求

第579回
森戸海岸で刺し網漁、そして、海鮮味噌汁

三浦大根の取材に三崎口まで行くことになった。
そうすると、どこでお昼を食べるかということが
一番の問題となる。
鎌倉あたりの料理屋に行くこともちょっとは考えたが、
すぐに、森戸海岸の生態系維持を訴える
漁師の矢嶋四郎さんを思い出した。

矢嶋さんは以前蛸壺漁の取材でお話を聴いて、
絶品の浜茹での蛸をご馳走になったことがある。
そのときに次回は刺し網漁を案内する
ということを言われていたのだ。
早速矢嶋さんに連絡して、
10時頃に海岸で待ち合わせということになった。
矢嶋さんの漁師小屋は、森戸神社の近く。
デニーズの角を海岸に入ったところにある。
逗子駅からはバスで10分ほど。
予定の時刻より早めに到着したら、
矢嶋さんの友達が、網を繕っていた。
そして、すぐに矢嶋さん登場。

真っ黒に日焼けした肌に、白い髭はいかにも漁師。
あのように男は枯れたいという見本だ。
早速再開の挨拶をして、漁船に乗せてもらう。
11月初めとはいえ、
晩夏を思わせる暖かさで風もなく、波も静か。
真っ青な空を背景に、ヨットや漁船が数隻遠くに浮かんでいる。
のどかな小春日和のなかを漁船が進むと、
頬を通り過ぎる風が実に心地よい。
しかし、こんな凪の日には魚はあまり獲れないという。
海が澄んでいて、網が見やすくなるせいらしい。
矢嶋さんの網はとくに目の粗い網を使っていて、
小魚はかからないような配慮がされている。
果たして漁果はいかに。

森戸海岸の沖に浮かぶ名島の近くに来てブイが見えてきた。
刺し網の目印だ。
巧みな操船で矢嶋さんは船をブイに近づける。
周囲は結構岩だらけで、水は澄んでいる。
低い波がその岩に当たって白い水しぶきをたまに上げている。
まず最初のブイを矢嶋さんは船の中に引き込んで、
刺し網を揚げる作業が始まった。
昨夜から仕込んであるという。
少しづつ網をたぐり確認していく。

そして、矢嶋さんが微笑んだ。


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2006年11月16日(木)

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