“蕎麦屋酒”の著者がプロ顔負けの美味探求

第628回
西崎ファームの鴨は売れなかった

第4回超美食会で、
西崎ファームの鴨をいただきながら、
西崎社長を参加者に紹介し、鴨農場の話をしていただいた。
西崎さんは、「私も素人のようなものです」、
と謙遜するして苦労話をいろいろと紹介していただいた。
「脱サラして田舎に住みたかったので、つくばへ越した。
何か育てようと思って、たまたま鴨を育てることになった。」
と、まずは以外な出だし。
水鳥が鶏と同じように、
玉子を産むことすら知らなかったのが、
やっと育てることはできるようになった。
しかし、どうやって売っていいかも分からなかったという。

20数年前の当時は、鴨を扱っている農家は稀で、
鶏のとさつ場に鴨を持っていっても、管轄外と〆てくれない。
やむなく、申請して、自分のことろで、とさつをするようにした。
そして、最初に買ってくれたのが、
「レストランひらまつ」。
夫婦で鴨農場にやってきて、首を折って持って帰っていった。
それから販路が広がり、
アピシウスなどの一流フランス料理店が
次々に注文するようになっていった。

その鴨は全てワクチンを使わず、
餌も遺伝子組み換えのものを排除して、
無農薬の穀物を与えている。
放し飼いで、農場には草木の葉が落ちて腐葉土化していて、
鴨の糞もその土のバクテリアで自然に分解される。
薬を使わないので、鶏インフルエンザには無防備。
しかし、たくましく育てた鴨はあまり病気にはならないという。
調子が悪くなったら、
その鴨だけ隔離して、栄養を与えて回復を待つ。
その鴨が鳴くと、「薬をくれ」と言われているようで、
なんともやるせなくなる。
人間は体調が悪くなったら薬を使うのに、
鴨には使わないのは可哀想とも思うという。

そこまで、自然育成にこだわった鴨はとても芳醇。
脂はとても上品。
それを秋鹿の酸の高さが洗いながしてくれる。
その相性はワイン以上。
最後に出た鴨のコンフィーも秀逸。
これは、西崎ファームで作っている。
通常のレストランのコンフィーは、
手間を惜しむために大量にある腹の脂を使うが、
西崎ファームでは皮の脂を使う。
腹の脂には味があまりないが、皮の脂は旨みの宝庫なので、
その旨さが鴨肉に溶け込むという。
真空調理で、
真空パックの袋に脂と肉を入れて
70℃程度の湯で何時間も煮込む。
濃厚で上品な味わいのコンフィーができあがる。
このコンフィーは西崎ファームから
誰でも取り寄せることが可能だ。
真空パックのまま湯煎すればよく、
手軽に絶品の鴨が食べられる。


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2007年1月31日(水)

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