“蕎麦屋酒”の著者がプロ顔負けの美味探求

第635回
代々木上原の気軽なイタリアン

代々木上原は生まれ育った地だ。
何故、代々木上原に家があったかというと、
父親の職業のせいだったことを大学に入ってから知った。
私の父親は昆虫学者で、生まれは赤坂。
しばらくそちらに住んでいたが、
学者になって、赤坂には昆虫が居なくなったと、
自然がまだ残っていた代々木上原に越したらしい。
いまでは、野原などは無くなり、
密集した住宅地になっているが、
幼いころのおぼろげな記憶として、
湿原の上をトンボが飛んでいたような気がする。

学生時代は美味しい料理屋など皆無で、
小さな商店街があるだけの垢抜けない街だった。
自動車メーカーに勤務し、所帯を持ってからは、
朝霞市、宇都宮、高田と数回の引越しをして、
代々木上原に再び戻り二十年近く経つ。
そんな代々木上原もいまでは
結構美味しい料理屋やバーができてきた。
自然派中華料理の「ジーテン」を筆頭に、
天然魚と純米酒の旨い「さかな幸」、
無菌豚の豚カツ「武信分店」、
ショットバー「カエサリオン」などなど。

そこに気軽なイタリアンが加わったことを最近知った。
名前は「バー・トラットリア・ヴィオラ」。
「ジーテン」の少し先の自然食品店の2階にある。
オーナーシェフの小島和典さんは、都内とイタリアで修行し、
昨年帰国して「ヴィオラ」をオープンした。
店内は、テーブル数卓、それに7席のカウンターがあり、
清楚なインテリアが気持ちいい。
オープンキッチンになっていて、
小島さん一人で調理している挙動が全て見える。
オープンが午後6時から午前5時までと、
明け方までやっていて、
ワインだけ飲みに行くことも可能なので、
色々と使い勝手は便利。

ある日妻と二人で訪問したときに注文したのは、
前菜として、ハーブサラダ、
白レバーのムースブルスケッタ、焼き野菜。
そして、パスタに牛蒡のスパゲッティ・カルボナーラと
ズワイガニのトマトソーススパゲッティ。
いずれも、シンプルな調理ながら、自然の味わいで旨い。
合わせたのは、フィリペのプロセッコ。
これで、お腹がまだ大丈夫であれば、
メインを注文しようと思っていたが、駄目だった。
パスタを1種類にして、
二人でシェアすればよかったかも知れない。
最後のドルチェとしてティラミスをとったが、
これもなかなかの味わい。
そして二人で1万2千円くらいと良心的な価格。
近所でふらっと入れる店として、通うことになりそうだ。


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2007年2月9日(金)

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