“蕎麦屋酒”の著者がプロ顔負けの美味探求

第721回
総集編3 日本の食文化は継続可能か?

再三、このコラムでも指摘しているように、
日本の食糧自給率は40%程度と、先進国では最低。
そして、農業、漁業とも生産量は毎年低下の一途を続けている。

農家には年寄りしかいなく、
若者は都会に出てサラリーマンをしている。
何故かというと農業だけでは生活ができないからだ。
農家がJAに野菜を卸すだけでは、
年収は僅かなものにしかならない。
それも、中国などから安い野菜が輸入されていて、
消費者が国内産の高い野菜は買わなくなってきているので、
安い値段で流通させることが必要となっている。
農家は自前の野菜だけで、一年間食べていくことはできるが、
子供の教育費や遊びの費用を出すことができない。
それほど、野菜の卸値は安い。
ということで、
農家も最近は他の仕事との兼業をしているところがほとんどだ。

いまでは専業農家として成立しているのは、
有機栽培などの栽培方法にこだわったり、
三浦大根などの栽培が難しく
廃れそうになっている伝統的な野菜を栽培対象にしたりして、
本当のいい野菜を育てようというこだわりを持ったところが
僅かに存在しているだけだ。
これは、消費者側や流通の問題もある。
昔は街の八百屋で世間話をしながら、
いい野菜が入ったと紹介されて買うような風景が
少なくなっている。
たいていの主婦は、スーパーの野菜売り場で
パックになったカット野菜を買い、
八百屋で大根、キャベツなどを丸ごと買うことはなくなっている。

ということで、
街には八百屋、魚屋などの小売店は激減していて、
個性豊かな野菜が扱われる場所は次第になくなってきている。
スーパーでは品質の統一化で、
見栄えばかり立派で
本物の味がしない野菜が並ぶようになっている。
このように、生産から流通、そして消費の三つの現場で、
従来の本物の野菜が扱われることがなくなってきている。
唯一の希望は、
有機野菜や低農薬野菜を主商品とする自然食品店や宅配業者が
頑張っていることくらいだ。

ということで、
日本の自給率は今後ますます落ち込む可能性が高い。
日本人は千年以上続いてきた日本の伝統農作物を口にせずに、
海外の安全の保証が難しい野菜をわざわざ食べるようなっている。
この状況を改善するには、
多くの消費者が本物の野菜の味を知り、
その価値を認めることがまずは必要だ。
そして、生産現場には、
誇りを持って伝統農業を続けていきたくなるような、
仕掛けが欲しい。
奨励賞の設置など、
農業政策のより一層の充実を政府関係者にはお願いしたい。


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2007年6月25日(月)

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