“蕎麦屋酒”の著者がプロ顔負けの美味探求

第722回
総集編4 美味しく食べるためには客も努力が必要

いい料理屋にはいい客が多い。
逆な言い方をすると、
いい客がいる店こそ、いい料理屋といえる。

まずは、料理を美味しく食べてやろうという意気込みが必要。
せっかく料理が出ても、連れと話をしていて、
料理になかなか手をつけない客をたまに見かけるが、
人ごとながら気になってしまう。
特に鮨屋、天麩羅屋などの江戸前料理屋では、
カウンターを挟んで、親方は客に瞬間の旨さを提供している。
出された時が一番旨く、
ちょっとでも時間が経つとどんどん味が落ちる。
江戸前料理のカウンターは時間と空間を売っているとは、
「みかわ」の早乙女さんの弁。
カウンターの奥行きも人の腕の長さである1尺に
余裕を少しつけて、1尺半
すなわち45cmくらいになっているそうだ。

また、何を注文するかということがまずは重要。
鮨屋などは、客の好みに合わせて微妙に出し方を変えたりする。
客の意思を最初に伝える機会に
美味しいものを食べたい意気込みを伝えると、
店側も一生懸命美味しいものを提供しようという気になる。
最近は鮨屋で酒を飲みながら、
いつまでもつまみを食べて、
握りをあまり食べようとしない客も多いが、
これも美味しく鮨を食べようという意気込みが感じられない。

さらに、薀蓄の多い客は他の客に迷惑しごく。
それも、結構勘違いの薀蓄を語っていることが多い。
他の客に対する心配りのない客が増えている。
最近は、グルメガイド本やグルメブログの氾濫で、
誰でもどんな店でも気楽に予約ができるようになってきた。
昔は敷居の高い店は先輩たちに連れて行ってもらって、
客としての作法も学んだものだ。
メディアの発展が、食文化の伝承を妨げている気もしてくる。


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2007年6月26日(火)

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