死ぬまで現役

老人を”初体験”する為の心構え




第32回
青年は経験よりも好奇心

「経験が人間を駄目にする」といったが、
それは人間が物事を判断する基準として、
あまりにも自分の経験に頼りすぎる傾向があるからである。
考えてみれば、生まれてきた時は人間、
誰しもすべてのことに対して経験を持たない。
熱い、冷たいの区別すらつかないのだから、
子供を育てる親がそれを教えなければならない。

少し前までは、よく子供がマッチをもてあそんでいるのを見ると、
「マッチで遊んではいけません」と、
親がマッチを取り上げたものであった。
いくら叱っても、親がマッチを擦って
煙草に火をつけたりするのを見ると、
子供は好奇心を刺激されるから、親にかくれてマッチをいじる。
それを防ごうとすれば、親の見ている前で、
子供にマッチを擦らせてみることである。
マッチを擦る手伝いをしてやって、できればマッチの火で少々、
痛い目にあわせると、
子供はびっくりしてマッチに近づかないようになる。

これはどの親も思いつく育児法のーつであるが、
同じことがオトナになって行く過程においてもいえる。
人間は成長して行く過程で経験することによって
知識を身につけて賢くなる面と、
経験したことのないことに好奇心を抱いて、
今までやったことのないことに挑戦したくなる面とが
微妙にからみあっている。
大雑把な言い方をすれば、青年とは、経験したことよりも、
未知のことに対する好奇心、研究心が強い状態をいい、
老人とは経験を重ねた結果、次第に好奇心や研究心を失い、
もっぱら過去の経験に頼るようになる状態をいう。

たとえば、若い時は性的衝動が強いせいもあるが、
性の対象について敏感に反応する。
性的衝動と愛情を混同したり、
愛情と生活環境との矛盾に悩んだり、
相手が愛情を受け入れるかどうかの動機をはかりかねて、
精神的なショックを受ける。
そういう無知や未経験なところがあればこそ、
人間は恋愛にうつつを抜かすのであり、
恋愛小説が文学の重要なジャンルのーつとして
成り立つ原因ともなっている。

ところが、恋愛は得恋に終わっても、
失恋に終わっても、成就した瞬間から終わりがはじまる。
「結婚は恋愛の墓場」といわれたりするのは、
人間心理のそうしたうつろいに根ざしたものだが、
恋愛感情が消えて夫婦間の愛情とか、
肉親の愛情に生まれ変わり、それなりに人間が満足すれば、
波風はあまり立たないですむ。

残念ながら、それですむ人は至って少なく、
次々と新しい恋愛感情を燃え立たせるチャンスを追うこととなる。
その場合、古い経験が新しい恋愛の役に立つことは滅多にない。
その道のベテランになってしまったのでは、
恋愛そのものがスリルのないものになってしまうからである。
やはり、「行方も知らぬ恋の道かな」というのが本当で、
同じことのくりかえしにならないことが若さのあかしでもあり、
また若さを保つ秘訣にもなっているのである。





←前回記事へ

2015年2月2日(月)

次回記事へ→
中国株 起業 投資情報コラム「ハイハイQさんQさんデス」

ホーム
最新記事へ