死ぬまで現役

老人を”初体験”する為の心構え




第35回
成功の確率が高い多角化の方法

しかし、毎日、同じことのくりかえしにすぎない仕事では、
人問のやる気はそう長くは持続しない。
困難があれば、それを克服するための情熱を燃やしている限り、
寝食を忘れることはできる。
が、これとても、先に希望が持てなくなれば、
情熱は次第に失われてしまう。
反対に、困難が克服されて、
あとは日常茶飯事のくりかえしになった場合でも、
挑戦の対象が失われてしまうから、
やる気は同じように冷えきってしまう。
失恋しても、得恋しても、恋愛感情が失われてしまうように、
事業は失敗しても、成功しても、
挑戦の対象でなくなってしまうから、
仕事師は常に次の挑戦の対象を
探し求めなければならないのである。

では次の挑戦の対象はどんなところに求めたらいいのだろうか。
チェーン店を展開している人を見てもわかるように、
1つのことに成功した人が同じことを地域的に拡げて行くのは
比較的やさしいやり方である。
飲食店や薬屋のフランチャイザーが
「一千軒目標」などとスローガンを掲げているのを
しばしば見かけるが、目標を掲げることによって部下の尻を叩き、
自分自身に鞭打つのである。
同じ線上の仕事も、数多く手がければ、
どういう人口のあるところで、どこに位置して店舗をつくれば、
どのくらいの売上げが確保されるかは大よそ見当がつく。
だから馴れた仕事をして
そう大きな失敗をやらかすことはなくなる。

しかし、チェーン店の展開にも必ず限界がある。
一千軒を目標として掲げながら、
なかなか一千軒を達成できないでいるのは、
事業もオデキも大きくなると、潰れるからである。
潰れないまでも、内部の腐蝕がはじまる。
チェーン店だけでなく、ファッション・メーカーや
食品メーカーでも、一定の売上げがあるようになると、
次の目標への挑戦が達成できなくなるばかりでなく、
逆に売上げや利益が減少しはじめる。
そういう人は本業以外に安定を求めて、他へ走ろうとする。
たとえば、ファッション・メーカーの中には、
盛業のさなかでレストランの経営を手がけたり、
あるいは、ラプホテルの経営にまで乗り出したところがある。

自動車の輸入を兼業したり、
雑誌の経営を副業にしているところもある。
しかし、一番成功したのは、利益のあがっている只中に、
借金をして不動産投資に集中した連中であり、
本業のほうは頂上をきわめてすでに衰退期に入っているが、
都心部のあちこちに土地を買い漁り、ビルを建てたおかげで、
不動産が残り、その時価ではじいてみると、
かなりのものになっている。
だから、本業の盛業中に借金をして不動産投資をするのは、
いつの時代でも成功の確率の高い多角化の方法
ということができよう。

次は隣り合わせ、もしくは、周辺産業への進出である。
ファッション・メーカーがレストランを手がける例は
近年、やたらと多くなったが、
はたして予期通りの成功ができるかということになると、
疑問符のほうが多い。
レストランは細かいサービスを必要とし、
また神経を使う割には売上げものびないし、
経費をさしひくと、利益もさしてあがらない。
今までのところは、店のインテリアにファッション性があって、
その人気で何とかもっているが、
珍しさがなくなれば、また室内の大改造をやって
人気をつなぐよりほかない。

本業が利益をあげ、税金に払うお金で
インテリアをやれている間はそれでも何とかなるが、
本業が衰退期に入れば、レストランのファッション化、
あるいはファッション・メーカーの
レストラン業界参入はやがて過去のものとなるであろう。





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2015年2月9日(月)

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