死ぬまで現役

老人を”初体験”する為の心構え




第44回
うまい店は自分で探す

ヨーロッパではわずかにフランスと
イタリアとベルギーが美食圏に入る。
またアジアでは、香港、台湾、タイが美食圏であり、
日本も豊かになるにつれて、急速にその圏内に入ってきた。

反対に中国大陸は、長い美食の歴史があったにもかかわらず、
上層階級を追放し、過去の文化を否定してきたので、
食文化は日本と逆の方向へ走った。
だから今は美食圏内にあるとはいいがたいが、
もともとそうした素地をもっているところだから、
国が富むとか、経済開発が
個人に委ねられるとかいうことになったら、
急速に失地を恢復することも考えられる。
食べることに貧欲な人はとりあえず、
これらの美食圏を目ざせばよいのである。

しかし、美食圏に出かけても、
食事に関心のない人は、結構、まずい物を食べている。
とくにツアーで行く旅行は限られた予算ということもあるが、
おいしい物を食べたことのない旅行社の係員が
食事のスケジュールを組むので、
台湾へ行ってビュッフェの西洋料理を食べさせたり、
香港に行ってツアー専門の安い中華料理店に案内されたりする。
もしどうしてもツアーに参加するよりほかない場合は、
はじめからしまいまで
おとなしく旅行社の案内するレストランに
ついて行かない覚悟が必要であり、
少なくとも、一日に一食は
自分たちで探したレストランに行くべきであろう。

ところが、自分たちでレストランを探す場合でも、
その場になってからでは間に合わないことが多い。
とくに美食圏ではそのおそれがある。
というのはフランスやベルギーのようなところへ行くと、
ミシュランのガイド・ブックで
三つ星をつけられているような
有名レストランの予約はたいてい、
ニカ月前にやらないと間に合わないことが多く、
いわんやパリに到着してから、
ホテルのコンシェルジェに頼んで
予約してもらってもまず望みが叶えられることはないからである。

私などはヨーロッパ旅行に出かける時は、
三カ月も前からホテルとレストランの予約をする。
レストランを先に予約してから、
ホテルの予約をする。
どうしても行きたいレストランが
その日、都合が悪かったりすると、旅程を変えて、
他の都市を先に回ってから、その町に入ることになる。

しかし、急に予定を変えたり、
パリやリョンに入った日が
有名レストランの休日ということもしょっちゅうある。
そういう時は、ホテルのコンシェルジェに、
どこのレストランが予約できるか、と相談をもちかける。
間違っても、ツアーの添乗員にきいたりしてはいけない。
添乗員は名所旧蹟へのルートには通じているが、
高級レストランに行ったことがなく、
どこの店の何がうまいかということもわからない人が
多いからである。

また土地に長く住む日本人なら安心と思うのも間違いである。
パリとか、ミラノに住む日本人は
なるほどその土地の言葉には通じているかもしれないが、
食べ物に関心がない人とか、
ふだんそういうレストランに出入りしていない人は、
旅行社の添乗員と何ら変わるところがないからである。

その点、一流ホテルのコンシェルジェは、
そのホテルに泊る上客からいつもそういうことについて
相談をもちかけられているから、
どこのレストランがどの程度の食事を出すか、
また前日か、その日になってから予約しても、
運がよければ、うまく滑り込めるところは
どこかということも知っている。
予約をしてもらって、OKという知らせを受ければ、
少々チップをはずむだけで、
一応の目的を達することができるのである。





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2015年3月2日(月)

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