死に方・辞めかた・別れ方  邱永漢

去り際の美学

第32回
意志の弱い人は、給料天引き貯金にするに限る

人間にはいろいろな欲望があります。
お金さえあれば、そうした欲望は、
たいてい満たすことができます。

うまいものが食べたい、流行の服を着たい、
デートをするとき格好のいいところを見せたい

みんな、お金を使うことばかりです。
それを全部満足させようとすれば、
月給日の十日も前から一文なしになって、
とても貯金どころではなくなります。

よほど意志の強い人でないと、
そういう欲望を断ち切ることはできませんから、
ついつい出費がかさんでしまう。
これでは、お金が貯まるわけがない。

サラリーマンの場合、確実に貯金を実行するために、
いちばん間違いのないのが天引き貯金です。
これなら、優先順位第一位です。
欲望に対する弱さを克服するには、最善の方法だと思います。

銀行が、毎月二万円なら二万円、
給料日にイヤでも持っていってしまう。
不思議なもので、先に引かれると半ば諦めた気持ちになって、
残ったお金でも何とかやっていけるものなんです。
自分の意志の弱さを、第三者に縛ってもらう方法です。

また、ローンを組んで家を買うのも、
一種の天引きといえるでしょう。
物を買うには二つの方法があって、
ひとつは、お金を貯めてから買う。
もうひとつは、先に買ってしまって、あとで借金を払っていく。

どのみち、毎月、家賃は払わなくてはならないのですから、
家賃よりすこしは高いにしても、
ローンを返していけば、何十年後かには自分のものになる。
これも財産形成の一方法であり、
貯金の変形と考えていいわけです。

ただし、同じローンで買うといっても、
自動車やピアノは、消耗品ですから、じつは大違いです。
消費財は、いくら買っても資産になりません。
欲望を満たすためのお金をほかから用立てているだけです。

その行き着く最悪の場所が、
サラリーローンということになります。





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2013年5月3日(金)

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