死に方・辞めかた・別れ方  邱永漢

去り際の美学

第76回
笑う力ドには、お金も来たる

イヤがることをすすんでやるのは、
なかなかむずかしいかもしれませんが、
お金が貯まり、金運が向いている人を見ると、
例外なく愛想がよく、腰が低いことに気がつきます。
まさに、「笑うカドには福来たる」と言っていいでしょう。

いつも不景気な顔をしている人と
顔を合わせていると、
こちらもだんだん不景気になってしまいます。

その点、愛想がよくて、腰も低ければ、
受ける感じも悪くはありませんから、
ものごとを頼まれたら、力を貸そうという気が起こるものです。
金儲けの話でも、積極的に持ちかけようという気が起きてきます。

私はこれまでに、人生で成功した人とたくさん会ってきました。
その中に、高慢な人は一人もいません。

成功した人は自分の主義主張やモノの見方には固執しますが、
他人に対して威張りちらすことはまずありません。
とくに偉くなればなるほど、”実るほど頭を垂れる稲穂かな”
となるようです。

よく気がついて、人の困ったことや
考えていることを先まわりして
片づけておくくらいに神経を使うのは、
金儲け、というよりも、人生処世術のひとつの方法でしょう。

同じ品物を買いに行くとき、
ブスッとしたオヤジのいる店に誰が行くでしょうか。

好きこのんでそんな店に行きたいと思う人間は、
まず一人もいないでしょう。
誰だって、応対の愛想がいい、
気持ちのよい店に行くはずです。

それだけのことで、
繁盛する店とそうでない店が分かれてしまいます。

ちょっとした仕事を頼む場合でも、
同じくらいの力量を持った人が二人いるとしたら、
やはり感じのいい人に頼みますね。





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2013年6月18日(火)

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