第944回
AさんからのQ(質問):台湾で「日本精神」が評価

毎日HiQを読むのを楽しみにしております。
私は現在中国に駐在しており、
日本人としてのアイデンティティについて
考えさせられております。
現代の日本に日本人として誇れるものが
なにがあろうかと思うと、
胸をはれるものは無いような気がして、寂しく思っております。

台湾では「日本精神」が評価されているようですが、
これについて邱先生はどうお考えでしょうか?
ご教示いただけますようお願いいたします。


■QさんからのA(答え)

台湾で日本精神が評価されているのは、
たまたま李登輝さんが新渡戸稲造さんの本を取り上げて、
それを宣伝したからだと思います。

李登輝さんも私と同じ頃に日本の学校で勉強したわけですから、
そういう意味では日本人の特徴というものを
良くわかっていると思います。
でも、いま中国に行って日本精神の話をしたって、
誰も相手にしてくれないと思います。
中国が日本人に期待しているものは、
日本人の職人的気質といいますか、
簡単に言えば技術とお金なんです。

そういうものを生み出したのは何かというと、
それは日本人のサムライ精神ではなくて、
江戸の職人たちが物作りに夢中になって、
完璧主義でやってきた町人文化です。
それが明治以後、工業化するプロセスで役に立っているんです。

商人というのは、
物の安い所で物を仕入れて、物の高い所へ持って行って売って、
差額を儲ける人たちです。
職人というのはない所から物を作って、
新しい付加価値を生み出します。
その付加価値は中国人の商人気質がもたらすものより
ずっと大きなものです。
ですから、いまの日本人は職人気質を中国でうまく発揮して、
中国人の商人的気質と足して、新しい富を生み出せば、
誰からでも歓迎されます。


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