中国株・起業・人生相談・Q&A-ハイハイQさんQさんデス-邱 永漢

第1696回
職人さんからのQ(質問):日本の伝統工芸について

邱永漢先生
バブル時の殿様経営から、今もなお壊滅に向かっている
輪島塗等の日本の伝統工芸について質問です。

日本の伝統工芸品は、工夫の無いマーケッティングはさて置き、
絶滅させるには惜しいものも多くあります。
日本の伝統工芸品を盛り上げるアイデアとして、
セカンドラインの開発と、
それを総合したセレクトショップの展開というのは、
理に適っているでしょうか?
輪島塗などは、工程が何十もあり、
それを丁寧に職人技によって仕上げていく事で
高品質な味のある作品に仕上がりますが、
それが値段を吊り上げ、納期までの時間も読めないような、
扱いにくい商品となっております。

セカンドラインとして、工程を大幅に割愛し、若いデザイナーを登用し、
流通も今のような硬直的でないものを廉価で作る事ができれば、
広い層に指示されるものができるのでは無いか?
と考えております。
伝統工芸の職人も、
プライドよりは売れるものを作る事を考える時期に来ていると思い、
以前に比べ、色々と聞く耳を持つのではないかとも考えております。

大変恐れ入りますが、行動を伴っていない机上の空論でありまして、
自分の考えに誤りが無いかのご指摘を先に受けたく
投稿いたしました。
ご意見をどうぞお願いいたします。


■QさんからのA(答え)

私は日本の漆器には興味を持っています。
輪島にも何回も行ったことがありますし、
そこで一番大きな事業をしている会社も見せてもらっております。
私の理解している限りでは、
日本の伝統文化も袋小路に入っています。
無茶苦茶高い値付けで
それでも買ってくれる人がいると思って生きているのが
とても不思議です。

東南アジアに行くと漆器は元々ベトナムとかタイとかから
すぐお隣の中国の方へ渡って、
それが更に船に乗って日本に来たものだという印象を受けます。
値段を見ると日本の10分の1、100分の1で道端でも売っています。
それに比べると日本の方が技術はずっと上ですから、
その技術を身につけたら、私なら輪島になんか住んでいません。
ベトナムかタイか、ビルマにいます。
そしてその土地の漆器の技術をどうやって向上させ、
どうやれば世界中で売れるようになるか研究します。

あなたの関心が塗り物に限定されているとすれば、
そういう道しか残っていないのではないでしょうか。


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2007年4月23日(月)

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