第1706回
■T.O.さんからのＱ（質問）：体が動かなかったら

邱永漢様

いつも先生の著作を読み、元気を戴いております。
これからもお元気でご活躍ください。
先生のお元気の源の一つに、
毎日のように好奇心の赴くまま飛行機で世界を飛び廻り、
色んな人とお会いになることだと思います。

仮定の話で恐縮ですが、先生のように資力が有っても、
最近の高齢化の時代、
若くして身体に障害があり一人では外に出れない人も多くなりました。
もし先生がそのような不自由な境遇になった場合、
どのように精神的に克服され、人生を謳歌されるのでしよう。

ご自分だったらこうするというアドバイスなど、
失意の人にも勇気をプレゼントしてください。
よろしくお願い致します。

■ＱさんからのＡ（答え）

私の一番の希望は、まだボケる前に死ぬことです。
そう考えて「私は77才で死にたい」という本まで書きましたが、
そんなにうまく死なせてくれなくて、
もう予定を６年もオーバーしてしまいました。
俳句で言えばいま字余りの人生を送っているところです。

死なないで、長く生きておればボケるに決っていますから、
その時に人に迷惑をかけないで済むように、
せめて看護代に困らないようにと努力しています。
既に耳もだんだん聞こえなくなってきましたし、
その内に頭も言うことをきかなくなると思っています。
自分のことだけでも面倒が見きれないのに、
とても人にアドバイスすることなど思いつきません。