至福の一皿を求めて おいしさの裏側にある話

第6回
最高。アルバの白トリュフ

北イタリアで取材したとき、
拠点にしたのがアルバという街です。
そこで、あまりにも有名かもしれませんが
語らせてください、アルバの白トリュフ。

アルバは、ピエモンテの州都であるトリノから
うまくいけば電車で1時間くらい南下した小さな街。
毎年10月には1ヶ月間ほど白トリュフ市が開かれ、
この時期はホテルもリストランテも
予約はかなり困難になります。

私は1999年10月、最初にこの街に来ました。
特別白トリュフ好きというわけではなく
ただ、バローロとバルバレスコの畑に囲まれ
フンギ・ポルチーニの産地でもあり
おまけに白トリュフ市があるのだから
おいしい場所に違いない、とにらんだわけです。

トリュフでも、黒は火を通したり、
刻んで料理に加えたりして使いますが
白トリュフはフレッシュを、スライサーで薄く
スライスして振りかけます。
かけられるのは、前回もお話ししたように
タヤリン(たっぷりの卵黄で練り込んだ
平打ちの細長いパスタ)などのパスタや
シンプルな卵料理との相性が抜群。

白トリュフったってねぇ、きのこだし。味もないし。
と言っていたのは他ならぬこの私ですが、
数十分後、すみやかに改心しました。
セージバターで和えただけのタヤリンの上に
ハラハラと舞いおり
お好み焼きの鰹節のごとく降り積もったそれは、
私の鼻を抜けて脳を直撃するような
魅惑的な芳香を放っているのです。

白トリュフの魅力は、香りです。
誰かが白トリュフをオーダーすると、
店いっぱいに充満してしまうほど。
その濃密な、独特の香りにはもう、クラクラです。

ちなみにイタリアの地元リストランテでは
何グラムいくらで白トリュフをトッピングしてくれたり、
「ストップ」と声をかけるシステムの店もあります。

白トリュフのシーズンは、年にもよりますが
12月頃までというのが目安。
残念ながら2003年は、夏の異常な猛暑により
たいへんな不作に陥ったらしく
値がとんでもなく跳ね上がったそう。
東京では、「まるで金(きん)を削っているようだ」と
嘆くお店もあったほど。
来年に期待したいものです。


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