至福の一皿を求めて おいしさの裏側にある話

第7回
惜しまれる名店『イル・ヴィコレット』

ピエモンテ州アルバとその周辺は
素朴で、あたたかく、おいしい店が
粒ぞろいの地域です。
『イル・ヴィコレット』は、
アルバの中心地から
ほんのちょっと路地に入った場所にあり
方向ド音痴の私は
一発で辿り着いたことがほとんどないのですが
こぢんまりとした、好きな店でした。

シェフはマンマで、
旦那さんがサービスを仕切っています。
この旦那さん、いつもニコニコしていて
ワインの選定を褒めてくれたり
料理の組み合わせを褒めてくれたりと
サービス精神とは知りつつも
思わず客はホクホクしてしまうのです。

この店で、私は2001年秋、
フンギ・ポルチーニのフリット(フライ)をいただきました。
当時、日本ではその希少性と高値ゆえに
「イタリアの松茸」?などともいわれた
フンギ・ポルチーニの旬は、もちろん秋。
この時期にしか食べられないフレッシュを
地元でなら山盛り食べられると
異常にコーフンしたのを憶えてます。

ザックリ縦割りにされたそれは
カラリと揚げられ
これでもかと積み上げられて現れました。
香り豊か(もちろん松茸ではありません)、
そして歯ごたえはプリプリ。
あっという間に平らげた、ということまでは
記憶にあるのですが、
その後とても気分良く酔っぱらい
ふたつの謎を残してしまいました。

ひとつは衣。
セモリナ粉のような気がしたのですが
ごくごく細かいパン粉だったかもしれない……。
もうひとつは揚げ油。
オリーブオイル、ピーナッツオイル、それとも……?
この土地ではフリット・ミスト(肉、野菜、果物からお菓子まで
いろんなフライの盛り合わせ)という伝統料理があって
揚げるものによって衣も油も替えると聞きました。
イル・ヴィコレットが、フンギ・ポルチーニを
はたして何で揚げていたのか
知ってる方、いらっしゃいますか?

イル・ヴィコレットは2002年12月、
リストランテとしては閉店しました。
今はお惣菜屋さんをやっているそうです。


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