至福の一皿を求めて おいしさの裏側にある話

第44回
『カフェエイト』のビーガン・フード

嫌いな食べ物は何かと聞かれると
いつも、はたと困ってしまいます。
たとえば人参とか、ピーマンというような分類で言うなら
嫌いな食べ物はほとんどありません。
でも、こんな法則に最近気づきました。

手作りのふわふわしたさつま揚げには喜びますが
でも固くてゴムのようなそれには怒りを覚えます。
沖縄そばは大好物だけど、
それにもし化学調味料がたっぷり入っていたら
ものすごくがっかりします。
……私がいかにワガママかを
発表しているみたいになりましたけど
要は、なんというか
さぼってる食べ物が嫌いなのです。

私はオーガニックやスローフードに
ことさらこだわってはいません。
ジャンクフードもときには食べます。
けど基本の食事は、
自分を生かしてくれる基になるものなのだから
真っ当な食材を使った
気合いの入ったものを食べたい。

青山にある『カフェ・エイト』は
ベジタリアンの中でも
厳しく、動物性の食材を一切使わない
ビーガン・フードのカフェです。
私はベジタリアンではまったくありませんが
ここの、野菜をたっぷり使ったメニューは
しっかりおいしい。

ひよこ豆のカレーや
豆腐と野菜が入った天然酵母パンのサンドイッチは
二日酔いの体にも優しいですし、
豆乳を使ったソイ・ラテも独特の香りがクセになります。
野菜はもちろん
豆腐、豆乳、メープルシロップ、きなこに胡麻など
健康優良食材を自由自在に操って
メニューはしょっちゅう替わります。
それがまた、ツボにはまる。

彼らの料理は、じつに楽しげです。
「これしか使えない」のでなく
「これがあんな風にも、こんな風にもなっちゃうの?」と
こちらをびっくりさせてくれる。
私にとっては、ビーガンであってもなくても
この際どうでもいいことで、
3階にあるここへの階段を
今日はどんな発見があるのかと
ワクワクしながら上るだけです。

彼らは、たとえば豆腐にせよメープルシロップにせよ
なんでもいいわけでなく、
産地や製法にこだわりますし
野菜も生産者まで決めているとか。
つまり自分たちが信頼した食材しか使わないのです。
単価の高いレストランなら当たり前のことですが
カフェでそれをやっていることに
敬意を表したい。

最近では
オーガニックや、有機栽培野菜“使用”などと謳う
カフェも増えてきていますが
それが格好だけの
さぼってる食べ物か、気合いの入っている食べ物かは
食べてみればわかります。
『カフェエイト』の、あの「びっくり」は
作り手側に一本筋が通っていないと
なかなかできるものではありません。


■Cafe Eight(カフェエイト)
東京都港区南青山4-27-15-3F TEL 03-5464-3207


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2004年2月19日(木)

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