至福の一皿を求めて おいしさの裏側にある話

第45回
Tシャツライクなカフェごはん

イタリアで出逢った
料理修業中のコックの中で、帰国後
「カフェごはんを作りたい」と、
リストランテやトラットリアでなく
カフェに心が動いている男の子がいました。
彼に言わせると
「コックコートよりTシャツな感じ」
なのがカフェのキッチンで
「お洒落で、自由で、おいしい」
のがカフェごはんなんだとか。

たしかに、おいしい店のはおいしいよね
と私が変な日本語で答えると、彼はポジティブに
「ね、ね?」と勢いづきました。
イタリア料理にエスニックの要素があったり、
そんな料理が和の器に盛られていたり。
初めてそれを食べたとき
雷に打たれたように、彼には衝撃的だったらしいのです。

カフェごはん
というジャンルが、成熟しつつあります。
何でも混ぜこぜにして、
そこからオリジナルを創り出すのが得意な
日本人の本領発揮というか。
どこの国の料理でもない、
いろんな要素がミックスされたカフェごはんは
どこかイキイキしているようにも思えます。

レストランのかしこまった料理でなく
かといってひと昔前の喫茶店の「軽食」的メニューでもない。
カフェごはんには、
料理上手な友達がササッと作ってくれた
普段のちょっとしたごちそう
というような、うれしさがありますよね。

カフェは、
レストラン以上に
オーナーのライフスタイルやセンスに
感応する客が集まるところ。
たべものが、
真似したくなるような
そして、真似できそうな距離感にある
食器やカトラリー、家具、灯り、音楽などと
同じ存在感で用意されている場所です。

イタリアの彼のように、
修業を積んだコックが手がけたり、
逆に、インテリアデザイナーや雑貨屋など
全然別の職業についていた人が
自分レシピの得意料理をふるまっていたりもする。
カフェごはんは
どんどん多様化し、進化しています。

しかし一方では、何度も雑誌に登場していた人気店が
わずか1年あまりで閉店するなど
厳しく淘汰されているのもまた事実。
移り気な客を吸い寄せて離さない秘策は
何だろう? と考えてみました。

私が一度しか行かないお店と、
何度も行ってしまうお店の違いは何か。
立地、金額、居心地などなどいろんな要素があるけれど
でも突き詰めていくと、結局は
「ちゃんと気合いの入ったおいしい店」
そして
「そこに文化が生まれていること」
だとつくづく思う、今日この頃です。


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2004年2月20日(金)

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