至福の一皿を求めて おいしさの裏側にある話

第72回
出逢いのオリーブオイル

ある晩、あるバーで
イタリアのEXバージン・オリーブオイルを輸入している
という女性と知り合い、
今持っていると言うので試食させてもらいました。
指先につけて舐めてみると
青草というか、青リンゴのようなフレッシュな香り。
とろっとしていますが重くなく、
むしろ素直でクセのない、さらりとした印象です。
チーズにかけたり、料理に使うと
素材も、オリーブオイルの風味も生きるのだとか。
私は、酔っ払わないうちにとあわてて
注文窓口のHPアドレスを訊きました。

彼女は、猪田晴美さん。
もともとは雑貨を輸入するために、昨年3ヶ月間
イタリアを北から南まで旅していたそうです。
しかし、カンパーニャ州を訪れた時、
「雑貨を探している」
という彼女の話なんてお構いなしに
自由なイタリア人は自慢したいものを自慢する。
そのひとつが、このオリーブオイルだったのだとか。

そんなに言うなら、と彼女は渋々畑を見に行きます。
しかし
その畑に立って空気を吸い、生産者と会って話し、
製造工程を知り、オリーブオイルを舐めて……と
竜巻に巻き込まれるがごとく
今、こうして輸入しているわけです。

商品名は『カイアッツォの丘』。
ナポリの北東、カゼルタという集落近くの丘で栽培される
カイアッツァーナという原種を使った
EXバージン・オリーブオイルです。
無農薬栽培で育てられ
完熟したオリーブの実を手摘みで収穫し
その日のうちに石臼で絞るという、
昔ながらの、そして人の手のかかった製法。
通常のオリーブオイルは
圧力をかけて絞った後、フィルターでろ過しますが
『カイアッツォの丘』は
8週間ゆっくりと寝かせた後の
上澄みだけを瓶詰めにするのだとか。

収穫は10月下旬から11月初旬に行われるので、
まさに今頃が、瓶詰め直後の
フレッシュなオリーブオイルの「旬」なのだそうです。

それにしても、
雑貨とオリーブオイルじゃ全然違います。
輸入しようと思った決め手は何だったんですか?
と訊ねた私に、
「人です」と猪田さん。
「儲けじゃなくて、いいものを作って伝えたいと
本気で思っている人たちだったから。それから……」
イタリアでの記憶を辿るように考えて、
彼女は言葉を足しました。
「握手したときの感触です」

数日後、宅急便で届いた『カイアッツォの丘』。
待ちきれず小皿に少しだけ取り、
また、指でペロッと舐めてみました。
……ああ、やっぱりいい香り。
今日の晩ごはんは、春のパスタに決定。
旬のホタルイカと空豆と
このオリーブオイルを
たっぷり使ってみようと思います。


■『カイアッツォの丘』
EXバージンオリーブオイル 500ml ¥2,520 
発売元 コンソナンテ URL http://www.consonante.jp


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2004年3月30日(火)

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