至福の一皿を求めて おいしさの裏側にある話

第73回
ネットでお世話になってます

ある晩、あるバーで出逢った
猪田晴美さん(第72回参照)のお隣に
座っていた男性が
インターネットでイタリアの食材を販売している
とおっしゃるので、
私もときどきネットで買うんですよ
なんて話をしていると
なんと、そのサイト『ベリッシモ』を運営している
清水良二さんその人でした。

ネットの世界の人が、現実の空間で
同じカウンターに並んでいるのは
じつに不思議な気分です。
毎週日曜、私のパソコンには
清水さんがイタリア買い付け旅行の一部始終を描いた
メールマガジンが配信されてきますが、
その、テンションやや高めの文面からは
意外なほど
ご本人はもの静かな佇まいの方。
この人が、ひとたびイタリアに行くと
あんな風になってしまうのね……と、
思わずニヤニヤしてしまいました。

『ベリッシモ』は
かつて靴の企画や輸入に携わっていた清水さんが
出張でイタリアを訪れるうち
食べたり、買ったりしたものがあまりにもおいしくて
文字通り涙して感動したものの、
しかし当時、日本の大手が輸入するものは
イタリアの味ではなかったそうで
ならば自分が伝えようと立ち上げたサイト。
知名度は低くても
「手間と時間をかけた本当においしいもの」を求めて
彼自身がイタリアを歩き回り、
出逢いや経験を経てセレクトされた食材と
食まわりの雑貨を少量ずつ輸入、販売しています。

私はこれまで
オリーブのソットリオ(油漬け)、
コラヴィータ社のペンネとスパゲッティ、
シチリア産岩塩のFino(細かい状態)とGrosso(ザラメ状態)
などを買いました。
オリーブは香りが良く
果肉の味わいも優しくて、ワインの飲み会に活躍。
岩塩は、イタリア料理の調味にはFinoを、
パスタを茹でるときにはGrossoを使っています。

食材以外で活躍しているのは、
オリーブの木のまな板。
包丁の当たりが気持ちよく、何より自然の
ちょっといびつな形が可愛い。
やはり飲み会のとき
チーズを盛り合わせてそのまま出したり、
テーブルでパンを切り分けるときにも重宝です。

ところで、
私が取材で訪れたピエモンテ州アルバの街に
清水さんもまた買い付け旅行に行ったことがあるそうで
小さな街ゆえに
けっこう同じ店を気に入っていたりして
あのオステリアはおいしかった
あのバールは良かったと、一緒に頷き合いました。
ただひとつ、私と違っていたのは
清水さんが
オステリアではバルサミコを、
バールではワインオープナーを
しっかり見つけていたことです。
うーん、さすが。


■ベリッシモ
http://www.bellissimo.jp/


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2004年3月31日(水)

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