至福の一皿を求めて おいしさの裏側にある話

第96回
日本人とワインのおつき合い

日本初のワイン会社は
明治10年に設立された
「大日本山梨葡萄酒会社」だそうです。
この流れをくむのが、現在のメルシャン。
メルシャンの創立は戦後間もなくの1949年で
その頃はまだ
日本人にとってワインは遠い存在でした。

日本のワイン市場は
1964年の東京オリンピックや
1970年の大阪万国博覧会の頃から、じりじりと
成長してきたようですが、
それでも
1970年の消費数量は国産・輸入を合わせて5,717kl。
それがワインブーム最高潮の1998年には
297,883klになったのですから、
つまり28年でなんと、約52倍!

今ではフランス、イタリア、ドイツ、
スペイン、アメリカだけでなく
チリや南アフリカ、アルゼンチンもブームになりましたし
ポルトガルやニュージーランド、ハンガリーなど
さまざまな国のワインが日本に輸入されています。

夜明け前、
日本にワインを広めようと会社を立ち上げた人達は
このプロジェクトX的な展開を
どこまで予測していたのでしょう?
それとも、賭けになると覚悟の上で
夢を、本気で見てみようと思ったのでしょうか。
ぜひ聞いてみたい気がします。

ともかく日本人がワイン好きと化した今
今度は、ワインの輸入業者が雨後の筍状態に登場し始め
インターネットの輸入専門業者や
個人輸入代行サービスなど
新手の業態も参入して
ワイン市場ではひそかに、熾烈な競争が
繰り広げられています。

日本人バイヤーは
世界中のワイナリーに飛び散って
有名無名のワインを仕入れています。
『ガンベロロッソ』『ヴィーニディタリア』
『ワイン・スペクテイター』などの
ワイン・ランキング本で高得点を獲得したワインや
ロバート・パーカー氏をはじめとした
ワイン評論家の評価が高い銘柄であれば
日本の業者とはほとんど契約しているでしょう。
さらに
まだあまり知られていない優良ワイナリーと
早い段階で契約するためには
現地のアドバイザー、ブレーンの存在も大きいようです。

日本人とワインが知り合ってから、まだほんの数十年。
私たちには
まだまだ知らないワインが多すぎて
それを一つひとつ覚えながら
「こんな葡萄があったのか」とびっくりしたり
「このワインがこの国で」と感動したりして
ワインとおつき合いを始めたばかりです。
もしかして
日本最初のワイン会社発足の原動力は
こんな手探りの楽しさだったのでしょうか。

※参考資料はメルシャン(株)ホームページ
http://www.mercian.co.jp/)より。


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2004年5月3日(月)

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