至福の一皿を求めて おいしさの裏側にある話

第99回
酒屋の立ち飲みコーナー進化論

「子どもの頃は
酒屋に、普通に立ち飲みコーナーがあって
近所のおじさん達が
チーカマやイカクンなどをつまみながら
コップ酒を飲んでいたよね」
という話を年上の、東京育ちの人から聞いたとき
年代が違うのか
育った地域のせいかはわかりませんが
とにかくまったく覚えのない私は
軽くショックでした。

まるでイタリアのバール、スペインのバル、
アイルランドのパブではありませんか。
素敵すぎます。
そう目をキラキラさせて言うと
その人は
「うーん、違うと思う」
と首をひねっていましたが、ま、いいんです。

まだ、立ち飲みコーナーのある酒屋は
都内にも残っていて
今、再び注目されているようです。
「立ち飲み」
というスタイルそのものが
脚光を浴びているせいでしょうか、
バーもスタンディングが増えていますし
一度立ち飲みコーナーをやめた酒屋でも
もう一度復活させるところが出てきています。

ご存知の通り、酒屋は今
淘汰され、街から消えつつあります。
ディスカウントショップやインターネットの影響だとか
酒類を販売できる小売店の増加などが原因とも
言われていますが
だからといって、それらのせいばかりにはできません。
客が来ないとボヤくのでなく
その状況が今目の前にある以上
太刀打ちしていかなければいけないということは
酒屋自身がもうとっくにわかっています。

じゃあ、どんな方法で? と言われれば
がんばっている酒屋でよく聞くのは
HPやメルマガを作る、御用聞きを再開する、
毎週お酒の試飲会を開く、交流会を催す、
自社(店)ブランドを立ち上げるなどなど。

その努力の方向は
手法が新しいか従来通りかは別として
いずれにせよ
街の酒屋にもともとあったはずの
文化を取り戻そうとしているようにも思えます。

で、立ち飲みコーナー。
これも実に多様化していて
もう「立ち飲み」という言葉で
ひとくくりにできないくらい、確実に進化しています。
中には
スタンディング・バーとしての機能を
十分に備えた店も出現。
そこには、チーカマでなく
チーズやリエットの世界が存在しているのです。


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2004年5月6日(木)

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