至福の一皿を求めて おいしさの裏側にある話

第102回
爆発の芸術家の庭で、パンケーキ

東京・南青山の岡本太郎記念館。
骨董通りから1本入った、
ちょうどイデー(インテリアショップ)の裏手にあたる
静かな路地にあります。

そう、ここは「芸術は爆発だ!」の名言や
太陽の塔であまりにも有名な、
そして
今なお人を惹きつけてやまない芸術家の記念館。
もともとご本人が
1953年から亡くなるまで、50年近くも暮らした
住居兼アトリエなのだそうで
つまり、数々のモニュメントや彫刻、
壁画などを生み出した彼の
マグマのようなパワーが爆発していた現場
でもあるわけです。

その1階に、ミュージアム・カフェ
『ア・ピース・オブ・ケーク』があります。
オーナーはお菓子研究家・大川雅子さんで、
15種類以上あるという
ホームメイドの焼き菓子やパンケーキがおいしいと評判。
ちなみに、カフェの利用には
入館料はかかりません。

こどもの日を控えた連休、
原色の、岡本太郎式鯉のぼりが風を泳ぐ
その下をくぐって、
彫刻のアトリエ跡にできたという
このカフェに立ち寄りました。

庭に面したテラス席に座り
まったりとお茶を……と言うよりも、
そこは岡本太郎ワールド。
地下から噴出し続けているような、彼の熱気を
感じずにいられません。

庭はさながら南の島かアマゾンか、
大きな芭蕉の木(ヤシの木みたい)などが所狭しと
グングン葉を広げ、
地面がほとんど見えないくらいの間隔で
力強いモニュメントたちがガンガン建ち並んでいます。
それはまるで、木と一緒に土から生えているような
生きている迫力。

そんな圧倒的な光景の片隅にお邪魔しながら
連れは
ドイツのオーガニックビールをグビグビ、
ナッツをポリポリやりながら
はぁ、とため息をつきます。

私は
バターミルク・パンケーキを切って
クランベリーのジャムをつけ
せっせと口に運びます。
乳清パウダーで作ったというパンケーキは
素朴な、優しい味わい。
ふと私の顔がほころぶと
モニュメントも笑った……ような?

何回か通ったら、岡本太郎が置いてった
このモニュメント達のおしゃべりに
気づくことが
できるようになるのかもしれません。


■a Piece of Cake (ア・ピース・オブ・ケーク)
東京都港区南青山6-1-19 岡本太郎記念館1F
TEL 03-5466-0686


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2004年5月11日(火)

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