至福の一皿を求めて おいしさの裏側にある話

第124回
自家製リモンチェッロの誘惑

イタリア料理で食後酒、飲みますか?
私はグラッパも好きですが
自家製がある場合、リモンチェッロをよく飲みます。

南イタリアの伝統的なレモンリキュール。
アルコール度数は30度以上ありますが
これを瓶ごと冷凍庫に入れて
キンキンに冷やし、
やはり冷えたグラスに少量を注いで
ストレートでくいっといただきます。

とろりと甘いその液体は
爽やかな香りを振りまき、粘膜を冷やしながら
食後の舌から喉、胃へと
氷の線を描くように落ちていきます。
で、落ちたあと、ポッと火照る。
消化を助ける
という説は本当かどうかわかりませんが
信じてもいい気がしてきます。

イタリアの広い範囲で飲める食後酒ですが
本場は南、それも
アマルフィ海岸からソレント半島にかけた一帯や
カプリ島、イスキア島などだそうで、
日本でいえば梅酒のように各家庭で作られています。

なぜその地域が本場かというと
地元で採れる、特産のレモンを使うから。
日本でよく目にするそれとは違って
かなり大ぶりなレモン。
しかし使うのは果肉でなく、その皮のみです。

南の太陽を浴び、無農薬で育てたレモンの
皮をうすく剥き、それを
95度程度の純アルコールに数日〜1週間程度漬け、
皮を取り出して
砂糖と水で作ったシロップを加え
少し(しばらくという人もいる)寝かせてできあがり。

ごくシンプルです。
でも最初にレモンの皮を漬ける日にちや量、
砂糖の量、寝かせる日にちなどで
不思議と、やっぱり、味が違ってくるのです。

既製品の瓶入りリモンチェッロも輸入されていますが
今、日本のリストランテでは
自己流や、あるいは
修業先のマンマのレシピなどで自家製リモンチェッロを
作るところが増えています。

ただ、当然日本で手に入りやすいレモンを使いますし、
日本では95度の純アルコールが
酒類として市販されていないため
代わりに
スピリタスなどの強いウォッカやグラッパで作るなど
けっこう工夫しているようで
イタリアの味とは違うという人もいます。
でも、それが日本流であったとしても
私は自家製がなんだか好きです。
ついでにほんのちょっとだけ苦味のあるほうが好みです。

余談ですが、お店で自家製リモンチェッロを頼むと
かなりの確率でこのセリフがついてくるでしょう。
「皮はうすーく剥くんです。
白い部分が入ると苦くなってしまうので」
いつも
「白い部分が……」が出てくると
つい「苦くなる」と先に答えたくなってしまいますが(笑)
きっと、そうとう手間がかかるんだろうなぁ。


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2004年6月10日(木)

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