至福の一皿を求めて おいしさの裏側にある話

第132回
定食屋の温かさ漂うオステリア

見つけてしまいました。
ひとりごはんにぴったりなお店を、六本木に。

俳優座の裏の奥にある
『オステリア・ナカムラ』は
思わず似顔絵を描きたくなるような
(そして描いてしまった)シェフと、
パキパキッとした
働き者の奥さんのふたりだけで切り盛りしている
ピッコロなお店。
三角形っぽい空間に、
カウンターとテーブル3卓だけのサーラですが
これが、なんともちょうどいいのです。

オーナーでもある中村直行シェフは41歳、
この道20年ちょっとだそうです。
アルバイトのパスタ専門店から始まって
「イタメシ」ブーム以前の1983年には1年間、
ミラノの『スカレッタ』(1ヶ月)など
ロンバルディアを中心に修業し、帰国。
渋谷「バスタ・パスタ・ウエスト」他を経てきた
黎明期からの
生粋のイタリア料理人です。
けれどこの店のカウンターに座ると
なぜか私は
昔、学生街にあった定食屋さんの空気感を
思い出さずにいられないのです。

黒板に並ぶきちんとした文字は
奥さんの性格が表れているよう。
汗をかきかきフライパンを振る
中村シェフはまた
汗を拭き拭き、ひとり客を気に懸けて
「(お料理は)どうですか?」
などと話しかけてもくれます。
思わずこちらも
「ネギが甘くておいしいですね」
から始まって
「今日は家族が残業で」
とか
「シェフは運動やってたんですか?」
まで、いつの間にか喋る喋る(笑)。

そうやって
シェフが器械体操の選手で
都内の新人戦で5位に入賞したこと、
お父さんに手に職をつけろと言われて
美容師か、調理師か二者択一(?)で
兄は美容師、弟の自分が調理師になったこと
などを訊き出してしまいました。

たっぷり食べて、笑って
おなかもいっぱい。
コースなら4000円で、アラカルトでもOKです。
グラスワインなら530円。
「本日の手打ちパスタをこっちのラグーで」
というわがままも大丈夫です。

1日の終わりに
こんな場所で、こういう食事で締めくくれたら
明日もまたがんばろうって気持ちになる。
ほら、古き佳き定食屋さんみたいでしょ?


■オステリア・ナカムラ
東京都港区六本木4-6-3 TEL 03-3403-8777


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2004年6月22日(火)

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