至福の一皿を求めて おいしさの裏側にある話

第143回
江古田で桃園豚のパテを食する

江古田という各駅停車の街を知っていますか?
日大芸術学部、武蔵野音大、武蔵大と
3つの大学がある学生の街。
卒業しても、そのまま愛着をもって住みつく
ミュージシャンやカメラマンも多く、
彼らが通うのは、良心価格の定食屋や居酒屋。
ある意味ノスタルジックで
一種独特な雰囲気の街……という江古田も
大江戸線の新江古田駅ができてから
マンションが建ち始め、ファミリーも増えて
変貌しつつあるようです。

そんな新江古田駅から近い場所に
フランス料理店『ラ・リオン』がオープンしたのは
この1月。
江古田でフレンチ、しかもビストロでなくレストラン。
はたして地元住民はこの店をどう受け止めるのか。

日曜の夜、予約を入れて訪れると
早い時間からほぼ満席。
見回せば、家族連れが圧倒的です。
すると、私がメニューを広げているとき
目の前のテーブルで
ピチピチのショートパンツをはいた
小学5年生くらいの男の子が
ウエイターに声をかけ、お水を頼みました。
その様子が大人びていて
私は思わず笑っちゃったのですけど、
白いポロシャツにグリーンのエプロンを着たウエイターは
下げる途中だった皿をサッと後ろ手に隠し、
目線を下げて
「かしこまりました」
と丁寧に応えます。
子ども相手に、きっちりと礼儀正しい
そのひとコマに、ちょっと清々しい気持ちになりました。
小さなことですが
そういう小さな気持ちよさが
伝染して、レストラン全体の印象になる気がします。
実際お店には
じつにリラックスした空気が流れていました。

お料理はアラカルトが中心で
シェアしてもOKなので
ワインと一皿でも利用できるのがうれしいところ。
なんて言いつつ2皿頼んでしまいましたが
なかでも山形産桃園豚で作った
自家製パテには唸りました。
桃園豚は中国系原種豚を交配した銘柄豚で
きめ細やかでやわらかい肉質と
脂のうまみが格別だといわれ、注目されています。
このパテは、なるほどしっとりとジューシーで
豚肉のおいしさが存分に堪能できる。

オーナーシェフの佐藤伸夫さんは
かつて『リヨン』や『コートダジュール・ミクニズ』で
シェフを務めていたことで知られ
噂を聞くときも必ずその肩書きがついて来ましたが
その歴史を詳しく存じ上げない私としては
この仕事を、この価格(1260円)で、
そしてこの場所でやっていることに
ただ、素直に拍手をおくりたいのです。

ちなみにレストランの隣にはカフェスペースがあり、
惣菜やデザートのデリもあります。
先日ホームパーティーにお呼ばれしたとき
このパテを持って行ったら大好評でしたよ。


■La Lionne(ラ・リオン)
東京都練馬区豊玉北1-3-24 TEL 03-3993-4433


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2004年7月7日(水)

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