第110回
物欲の先にあるもの

最近、体重も物もどうしたら上手に減らせるのかが
多くの人の関心事のようです。
ですが、まだほんの６０年位前には
そんな時代がやって来るなんて考えられなかったのです。
祖父母や両親の子供時代には食料も物も不足してた為、
それらを粗末にすることなんてあってはならない事だったのです。
白いごはんやバナナやお肉をお腹一杯食べたい！
お下がりやお直しばかりの服ではなくて新品の服が欲しい！
と言うことで国民が一丸となって働いて
今の豊かな時代がやってきました。
極端な話、食欲と物欲を満たすというエネルギーが
原動力となってここまできたのです。
そして食欲と物欲が満たされたと思った途端に、
今度は食べ過ぎによる肥満や
買い過ぎによる片づかない部屋などに
悩まされる事態を招くことになりました。
どうやら本当に良いものが少しあればいいという事に
気づき始めました。

昔に比べれば今はとても豊かな時代です。
ですが人間は忘れっぽくて欲深い生き物です。
今が充分に豊かであるという感謝や満足の気持ちが薄くなり
今度はブランド物が欲しい！もっといい生活がしたい！と
常にもっともっと欲しくなってしまうのです。
今から何十年後になるか分かりませんが、
国民のほとんどが豪邸に住んで、
高級ブランド品を山ほど手に入れて、
食べたい料理はうんざりする程食べられる時代が
来ないとも言えません。　

是非皆さんに想像して頂きたいのは、
やがて来るかもしれない時代に
皆がもっと欲しくなるものは何だろうという事です。
または、「もっとどうなりたいと思うか」という事です。
物欲や食欲などが存分に満たされた後には
一体何が大切になると思いますか？
何が満たされたときに「幸せ〜♪」と思うでしょう。
それはどうやら物欲に満たす所にではなく、
自分自身の心にありそうだという事に
気づいている人が増えて来ました。
本屋さんを覗くとそれがよく分かります。
幸せな気持ちや豊かな心を手に入れるためには
どうしたらいいのかを唱える本のコーナーが
どんどん大きくなっています。