服飾評論家・出石尚三さんが
男の美学をダンディーに語ります

第6回
時には靴を磨いてみよう

<なあに、私はシャムパンの初泡で磨くんだよ>

その昔、イギリスの伝説的なしゃれ男、
ボウ・ブラムメル(1778〜1840)は、「靴の磨き方は?」と
問われてこう答えたという話があります。
靴を磨くたびにシャムパンを開けなければならないとすれば、
これはちょっと物入りですね。

まず最初に、靴クリームに大別して
二種あることを覚えておいて下さい。
油性分を主体とするシュー・クリームと、
ロウ分を主体とするシュー・ポリッシュとであります。
靴の革が栄養を求めている場合には前者を、
そして、光沢を出したいときには後者を、
ということになるわけです。
革の表面をよく観察して、
今なにが必要なのかを分った上で、
最適の靴クリームを使ってあげて下さい。

さて、靴を磨く時に用意するのは古ハンカチと古ブラシ。
これは綿でも麻でも結構ですが、
枚数は少し多めに用意しましょう。
そしてハブラシは豚毛をはじめとする
動物の毛のものが理想的です。
もちろんこれはコバの汚れをかき出すのに活躍してくれます。

手はじめに靴の表面をきれいにする。
うんと汚れている場合には革クリームを使いましょう。
とりあえず靴の表面がきれいになったとして話を進めましょう。

人差指に古ハンカチをしっかりと巻きつけます。
そのハンカチを巻きつけた人差指でワックスをごく少量とる。
この少量のワックスで靴の表面に「の」の字を描いてゆく。
この動作を何度も何度も繰返していきます。
表面が白くなるようではワックスの量が多すぎる。
ごくわずかに曇りが出る位がちょうど良い。

手が疲れ果てたところで、少なくとも1時間ほど置いておく。
その後、乾いたワックスのついていない
綿の布でゆっくりと、根気よく拭き取ってゆく。
これでほぼ完璧な輝きが生まれます。
つい、履くのがもったいなくなってしまうのが、
唯一の欠点ですが。


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