服飾評論家・出石尚三さんが
男の美学をダンディーに語ります

第75回
未来派フォーマル・ウェア

タキシードを着ないですます方法を知っていますか。
どうもタキシードを着るには抵抗がある。
けれども浮世の義理で「ブラック・タイ」
と書かれた案内状が来たりする。
着るか着ないか、行くか行かないか。
大いに迷うところでしょう。

でも、タキシードを着ることなく、
ブラック・タイ・パーティーに行く方法はあります。
まず最初に用意するのは、ブラック・スーツです。
実際に黒でなくとも、
夜間照明の下でほとんど黒に見える色なら
ブルー系でもグレー系でも結構です。

生地はモヘアに代表される張りがあって、
光沢の美しいものが理想的です。
もちろん無地をおすすめします。

さて、デザインですが
シングル前の一つボタンが良いでしょう。
襟は剣襟(ピークト・ラペル)。
同じ生地でスリーピース・スーツ(三つ揃い)に
仕立てておきましょう。
つまりどこから見てもごくふつうのブラック・スーツです。

まず必要なものは白いドレス・シャツと黒の蝶ネクタイです。
つまりワン・ボタン・ジャケットを
タキシードと見立てて、
あとはほとんどタキシードの小道具で合わせるわけです。

共地のチョッキを外し、
代りにカマーバンドをあしらうことは言うまでもありません。
もしドレス・シャツのスタッド(飾りボタン)を省略するなら、
フライ・フロント(比翼仕立て=隠しボタン)式にする方法も
あるでしょう。

ところで靴は何を選べば良いか。
上品なスリップオン・シューズをおすすめします。
甲の部分にタッセル(飾り房)が付いたデザインでも
良いでしょう。
あとは胸ポケットに白いハンカチでもあしらえば、
まったく問題ありません。

このブラック・スーツは組合わせひとつで
様ざまな場面で活躍してくれるでしょう。


←前回記事へ

2002年12月7日(土)

次回記事へ→
過去記事へ 中国株 起業 投資情報コラム「ハイハイQさんQさんデス」
ホーム
最新記事へ