服飾評論家・出石尚三さんが
男の美学をダンディーに語ります

第144回
フェア・アイル・スェーターの楽しみ方

フェア・アイル・スェーターを着たことがありますか。
“アイル”isleは「島」の意味ですから、
「フェア島のスェーター」ということになります。
スコットランド北方のオークニー諸島と
シェットランド諸島との間に位置する、小さな島。
それがフェア・アイルなのです。
この島でむかしから伝統的に編まれているのが、
フェア・アイル・スェーター。

すでにお話をしたアラン・スェーターとは
対照的なものですが、
そもそもはやはり
フィッシャーマンズ・スェーターであったのでしょう。
編み方はほとんど平編みですが、
編み柄は多様多彩なのです。
グリーン、レッド、イエローなど
美しい配色がなされたりもします。
全体としては複雑なジオメトリック・パターンですが、
むかしはこの柄によって
どの家の人間であるかが分ったのかも知れません。
そしてこの鮮やかな色も、
かつては天然の草木染めであったのです。
その意味ではスコットランドのあの有名な
タータン・チェックとの共通点もあるでしょう。

フェア・アイル・スェーターが突然、
世界中に知られるようになったのは、
1920年代のはじめ。
時の英国大子(後のウインザー公)が
フェア・アイル・スェーターを着て
ゴルフ場にあらわれたからです。
それ以降、フェア・アイル・スェーターを着て
ゴルフをするのがとてもおしゃれなことだと
されるようになりました。
それはVネックのスェーターで、
シャツにタイを結んでの着こなしであったのです。

フェア・アイル・スェーターは
アラン・スェーターと違って、比較的薄手で、
ジャケットなども重ね着ができるのが特徴のひとつでしょう。
もちろんスェーター以外にもニット・ヴェストや
カーディガンに仕上げられることもあります。

首もとにゆったりとスカーフを巻き、
Vネックのフェア・アイル・スェーターを着る。
その上に無地のジャケットを羽織るのも、
面白いでしょう。


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2003年2月14日(金)

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