服飾評論家・出石尚三さんが
男の美学をダンディーに語ります

第153回
ときにはスェーターにも愛情を

ファッション・マークという言葉を聞いたことがありますか。
ファッション・マークをごく簡単に説明するなら
「ニットの編目」ということになるでしょう。
スェーターやカーディガンの肩部分の接続部に、
小さな矢印に似た連続模様が入っていることがあります。
これがファッション・マークなのです。

ニット・ウェアを大別すれば、
「ヨコ編」と「丸編」に分けることができます。
ヨコ編とは手編みを機械に置き換えたシステムで、
丸編は筒状に編む方法で、大量生産に向いています。
ヨコ編は編み目をふやしたり減らしたりするのが特徴なのです。

ヨコ編はある程度、身体のかたちに合うように平面として編上げ、
それらをつなぎ合わせて完成させる。
このつなぎ目がファッション・マークなのです。
やや乱暴な言い方をすれば
ファッション・マークのあらわれているスェーターは
高級品と考えて良いでしょう。

これに対して丸編はちょうど布地のように、
形に合わせて裁断し、その後に縫い合わせる。
ですから“カット・アンド・ソウン”とも呼ばれるのです。
言い換えればスェーターなどの編目がすべて直線であるのは、
まず丸編だと考えて間違いないでしょう。

もちろんこれはニットの、編み方の違いなのですから、
どちらが良いという単純な問題ではありません。
それぞれの用途に合わせて選ぶべきでしょう。
ただヨコ編のほうが身体にフィットしやすく、
手のこんだ編み方であることは間違いないでしょう。
ファッション・マークさえ知っていれば、
この上なく簡単にヨコ編のスェーターや
カーディガンを見つけることができるのです。

上質のスェーターであろうとなかろうと、
いつでも良い状態で着たいものです。
たとえは長い間着ていると、
肘が丸くなったりします。
適度のスチーム・アイロンをかけると
簡単に元通りにすることができます。
これもやはり自分のスェーターへの愛情のあらわれでしょう。


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2003年2月23日(日)

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