服飾評論家・出石尚三さんが
男の美学をダンディーに語ります

第198回
ワインを美しく飲みましょう

ワインを飲むとき、
グラスをクルクル回すことがありますが、
あれは何のためか知っていますか。
ワインを回転させることで空気にふれさせ、
より香りが立つようにするわけです。
もちろんより細かい香りの違いを嗅ぎ分けるためです。

ワインの専門化にとっては必要不可欠な儀式でしょう。
あるいはかなりワインに通じているなら、
その香りによってなにか情報をつかむこともあるでしょう。
でも、少なくとも私はグラスを回したからといって、
分らなかったものが分るほどの知識を持っていません。
だからことさらにワイン・グラスを回すことは
ムダだと思っています。

ところがそれほど専門家でもないのに、
ワイン・グラスを回すのが
クセになっている人がいるんですね。
とにかくグラスを持ったら回してみたくなる。
ワイン・グラスはまだしも、ジュースだろうと水だろうと、
お構いなしにクルクル回す。
そのうちにコーヒー・カップまで回しはじめるのではないかと
心配になってしまいます。

あれは恥かしいことですし、
テーブル・マナーとしても美しくはありません。
百歩ゆずって、グラスを回してもよろしい。
でも、それはワインの香りをたしかめる時だけにしましょう。
つまり香りを聞かないのなら、回す必要はまったくありません。
グラスを回すことと、香りを聞くことは
ひとつの流れでごく自然につながれているべきです。
それがちゃんとできたなら、美しいポーズとなるでしょう。
もっとも、本当に香りが分るかどうかは、また別問題ですが。

素人はむやみにグラスを回すべきではない、
というのが私の考えです。
でも、どうしても回したいのなら、左まわりに回して下さい。
時計まわり(右まわり)とは逆方向に。
なぜなら、万一、手もとが狂った時、
あふれたワインを浴びるのは、自分だけですむからです。
反対方向に回していたなら、相手のほうにまで
被害が及ぶことになりますから、やめましょう。


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2003年4月9日(水)

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