服飾評論家・出石尚三さんが
男の美学をダンディーに語ります

第239回
私の小さなスロー・ライフ

JR山の手線に乗ったことがありますか。
私も日頃からよく利用しています。
まあ、山の手線に乗ったことがない人は
少ないのではないでしょうか。

山の手に限らず、電車に乗るのは大好きです。
ひとり静かに本が読めるからです。
家人とふたりで出かける時なども、
「本は持ってる?」と聞いたりします。
自分ひとりで本を読むのは具合悪いからです。
時どき、移動のために電車に乗るのか、
それとも本を読むために電車に乗るのか、
自分でもよく分らなくなってしまうほどです。

電車で本を読むのは私にとって小さな楽しみ。
けれども本を読むにはメガネが必要になる。
立ったままで、鞄の中からメガネケースを出し、
メガネを取出して、かける。
これがちょっと面倒なのです。――
ここから結論を急ぐと、
できれば座って本が読みたい。

そこで暇人の私としては、
山の手を観察したことがあるのです。
私の観察によればですね、
比較的混んだ電車と、
比較的混んでない電車とが交互にやってくる。
どうもそんな気がするのです。
そこで私は時折、一両やりすごして、
次の電車に乗ることがあります。
もっともラッシュ・アワー以外の時間帯のことですが。

そしてさらには比較的混んでいる車両と、
比較的混んでない車両とがあります。
これはどうも階段の位置と関係があるらしい。
乗換えなどの階段から遠い車両ほど比較的空いている。

そんなわけでたいていの場合、
私は空いた時間帯の、
空いた電車の、空いた車両を選んで、
ゆっくりと乗るようにしているのです。
もちろん席に座って、本が読める。
これも大人(シニア)ならではの知恵だろうと、
勝手に自己満足にひたっています。

でも本当は、どの電車に乗るかどうかは、
それほど大切なことではないかも知れません。
要は、人に流されず、自分が納得できるペース配分で
日々を過すことが大事なのだと思うのです。


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2003年5月20日(火)

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