服飾評論家・出石尚三さんが
男の美学をダンディーに語ります

第300回
夜空のしあわせ

5,576万kmというのが、
いったい何の長さであるか知っていますか。
これは間違いなく5,576万kmです。
もうちょっと想像を絶する長さですね。
実はこれ、地球と火星との距離なのだそうです。

もう少し正確に言い添えておきますと、
今年8月27日に、火星が久々に大接近する時の距離なのです。
けれども「久々」というのが
なんと紀元前57537年以来の大接近だというのですから、
あきれるほどスケールの大きい話。
ついでながら次回の大接近は2287年に
ふたたび巡ってくるというのです。

火星は今でも、肉眼でも見ようと思えば
見えないわけではありません。
でもせっかく大接近するのなら、
もっとしっかりと、大迫力で見たいのは人情でしょう。
火星はおおよそ南の方角、
やや低い位置にあらわれる。
ということは少しでも南寄りの位置で見たほうが有利。
日本ならたとえば、沖縄。
広く世界で探すなら、オーストラリアかニュージーランド。

なにについても好奇心だけは人一倍の私ですから、
当然、火星を見たい。
でもね、そのためにオーストラリアへ行くほど
熱心にはなれないでしょう。
せいぜい手軽な天体望遠鏡を
探しに行くくらいのところです。
とりあえず火星の表面をひと通り見るだけなら、
100倍位の天体望遠鏡があれば可能とのことです。
あるいは天文台のある所へ行くのも
ひとつの方法かも知れません。

火星の特徴は水が存在しているだろう、
と考えられていることです。
さらには生物が存在しているのではないか。
火星人はほんとうに居るのだろうか。
夢と想像はふくらむばかりです。

ひとつの予定を立てて、
八ヶ岳のキャンプ場などに行ってみたい。
天体望遠鏡で火星を見てみたい。
いや、たとえ火星でなくても、
天体望遠鏡がなくても、
静かな所でゆっくりと夜空を見上げる時間を持ちたい。
靴を踏まれたとか、悪口を耳にしたとか・・・。
ああ、それはなんて小さいことだろうかと、
思えてくる幸福(しあわせ)があります。


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2003年7月20日(日)

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