服飾評論家・出石尚三さんが
男の美学をダンディーに語ります

第373回
上手なアイロンがけの秘密兵器

自分でアイロン掛けをすることがありますか。
意外にも私は結構やっているほうです。
たしかにワイシャツをアイロンで上手に仕上げるのは難しい。
でも、微妙に自分なりの好みがあって、
人まかせにはしたくないのです。
クリーニング店に出すと、
襟や袖口が固すぎる。
ダブル・カフスが思うように仕上っていない。
それなら下手でも自分でやったほうが、
文句を言わずにすむ。

ワイシャツに較べれば、
上着やパンツにアイロンを掛けるのは簡単でしょう。
強いて難しい部分を探すなら、袖でしょうか。
そのままにアイロンを使うと、
シワは伸びるものの
つけたくない折目がついてしまうことがあります。
「袖まん」と呼ばれる専用の台を使うのが理想でしょう。
タオルを細長く巻いて代用するのもひとつの方法です。

アイロン掛けは面倒だ。
たしかにそうかも知れません。
でも、思いついたようにたまにやろうとするから、
面倒になってしまうのではないでしょうか。
アイロンはどこだ、アイロン台はどこだ、
ということになる。
いつもやっていれば、
すぐに道具が出てくるし、馴れてもくる。
つまりやればやるほど楽になるのがアイロン掛けなのです。

いつもパンツの折目がくっきりとついているのは
気持の良いものです。
スチーム・アイロンを使えば、実に簡単。
ただしひとつだけ注意しなければならないのは、
絶対に直接アイロンを当てないこと。
麻や綿は大丈夫ですが、
ウールは生地が光ってしまいます。
必ず当て布をすること、これは常識です。

ところが当て布をすると、
下のパンツの状態がよく分らずに、
折目を2本つけたりすることがありますね。
そんな時には
「シースルー・プレッシング・クロス」を使って下さい。
読んで字のごとく、コットンの、半透明の当て布ですから、
下に置いたパンツの様子を確かめながら
アイロンを掛けることができるのです。
麻布のスーパーマーケット
「ナショナル」(TEL:3442-3181)で、
1枚580円で売っています。
これでまたひとつアイロン掛けの楽しみがふえましたよ。


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2003年10月10日(金)

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