服飾評論家・出石尚三さんが
男の美学をダンディーに語ります

第384回
靴とパンツのマリアージュ

ジョドパーという言葉を聞いたことがありますか。
時に「ジョッパー」と呼ばれたりするのですが、
正しくは“ジョドパーズ”jodhpurs。
これは「乗馬用ズボン」のことです。
モモからヒザにかけて
ゆったりとしたふくらみを持ち、
ヒザから裾についてはごく細く仕上げられた、
独特のシルエットを持つパンツのことです。

“ジョドパーズ”は一度聞いたら、
なぜか印象にのこる言葉ではないでしょうか。
その綴りも変っていますよね。
実はこれ、インドの地名にはじまっているのです。
インド中西部の地名。
今はラージャスターンの一部になっています。
19世紀後半、この地に駐留していた
イギリス将校が考案したところから、
この名前があります。
つまり地名の“ジョドプール”jodhpurから
“ジョドパーズ”が生まれたのです。

そしてこのジョドパーズに合わせて履いたのが、
ジョドパー・ブーツなのです。
ですからもともとは乗馬用ブーツだったわけです。
ジョドパー・ブーツは一種のアンクル・ブーツで、
足首にストラップを
巻きつけるようにして履くのが特徴です。
あまりにも当然ですが、
ジョドパーズにジョドパー・ブーツはよく似合う。

つまりですね、パンツとシューズの理想の関係は、
一体化するということ。
言い換えればパンツとシューズとが
ひとつながりになってくれることなのです。
パンツのことだけ、シューズのことだけ
考えてはいけないのです。
むしろ両者の相性のことを考えるほうが、
足もとのおしゃれには大切なのです。

さて、ここでもう一度はじめに戻って、
ブーツを考えてみようではありませんか。
足首までのながさのアンクル・ブーツ。
歩きやすく、暖かく、パンツにも合わせやすい。
それほど難しく考えなくても、
とりあえずシルエットの上では
ほとんどのパンツと一体化してくれるでしょう。
それはともかく、シューズを選ぶ時、
ちょっとジョドパーズのことを思い出して下さいね。


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2003年10月21日(火)

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