服飾評論家・出石尚三さんが
男の美学をダンディーに語ります

第386回
名月に最中はよく似合う

最近、最中(もなか)を食べたことがありますか。
私はつい先ほど頂きました。
濃いお茶に最中、良いものです。

最中(もなか)、考えてみれば妙な名前ですね。
これは昔の和歌に因んでいるのだそうです。
「池の面(も)に照る月なみをかぞふれば
 今宵ぞ秋の最中なりけり」
つまり仲秋の名月を詠んだ歌。
源順(みなもとのしたごう、911〜983年)の歌です。
池に映った仲秋の名月に形が似ているというので、最中。
一説に、江戸中期、吉原の菓子商
「竹村伊勢」が考案したものと伝えられています。
それはともかく、江戸期の最中は
竹村がいちばん有名であったようです。

ところがこの最中、
最初はあんが入っていなかった。
あん入り最中は明治に入ってからのことで、
「最中まんじゅう」と言った。
これが省略されて現在の最中になったのです。

もっとも最中のすべてが名月のかたちではなくて、
俵型もあります。
名高い「空也もなか」も俵型ですね。
丸であろうが俵であろうが、
皮のパリッとしたところを食べるのがうまい。
京都のある菓子屋へ行くと、
「最中」と注文すると
その場で皮にあんをはさんでくれる。
で、それを店先で食べる。
当然、パリッとして良ろしい。

うかつにも私、最近知ったのですが、
たねやの「手づくり最中」というのがあります。
「ふくみ天平(てんびん)」というのがその名前なのですが、
皮は皮、あんはあんで別になっている。
形は丸でも俵でもなくて、
細長い八つ橋形とでも申しましょうか。
で、この別々の袋に入っているやつをば開けまして、
自分であんを皮にはさむ。
当然、皮はパリッとしているわけで、結構この上もなし。
いつでも、好きな時に、
ベスト・コンディションの最中が楽しめるわけで、
これこそ名案というものでしょう。
もしご興味おありの方は
「たねや」(TEL:0120-800-144)に問合せてみて下さい。

名月を眺めながら最中なんてのもいいじゃないですか。
一句浮かんで来そうで。


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2003年10月23日(木)

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