服飾評論家・出石尚三さんが
男の美学をダンディーに語ります

第438回
ドレス・シャツの楽しみ方

タキシードを持っていますか。
私は商売柄からも持っています。
でも、ほとんど着ません。
仮に「タキシード」と指定があった場合でも、
別のドレッシーな上着ですませることが多いのです。
少しつむじ曲りなのかも知れません。

でもドレス・シャツに
ボウ・タイを結ぶのは、
珍しいことではありません。
ちょっと極端な言い方をすれば、
ドレス・シャツさえあれば、
ドレス・アップは可能なのです。

もっとも正式なドレス・シャツは、
「イカ胸(むね)」です。
正しくは“スターチド・ブザム”。
シャツの胸元をU字型に切替えて、
固く糊づけしたスタイルのことです。
当然、ウイング・カラー(立ち折れ襟)で、
胸をスタッド(飾りボタン)で留めます。

飾りボタンの数とフォーマル度にも関係があって、
少ないボタン数ほど、正式。
極端な場合は1つボタンということもあります。
現在は3つボタンが主流ですが、
2つボタンや4つボタンもないわけではありません。

「イカ胸」の次にフォーマルなものが、「千本ヒダ」。
正しくはプリーテッド・ブザム。
「千本」とは形容ですが、
細かいヒダで、数が多いほどドレッシーである、
ということになっています。
時としてフリルを飾ったシャツがありますが、
これは略式。
ファンシー・タキシード用と考えるべきでしょう。

今、いちばん多いのは
“プリーテッド・ブザム”のドレス・シャツでしょう。
そしてこれも大別して、
ウイング・カラーと通常の折襟(並襟)とがあります。
結論を言えば、どちらでも構いません。

むかしはウイング・カラーのドレス・シャツに
ホワイト・タイを結んで、燕尾服を着た。
たかがタキシードに
ウイング・カラーでもあるまい、
という上流階級の気取りなのです。
このような昔気質(かたぎ)の人たちは、
あえてタキシードには並襟のドレス・シャツを
組合わせるわけです。
それはともかく、お好みのドレス・シャツを使って
夜のおしゃれを楽しんで下さい。


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