服飾評論家・出石尚三さんが
男の美学をダンディーに語ります

第455回
ポロ・コートの魅力について

ポロ・コートを着たことがありますか。
以前、私もこれを愛用したものです。
それというのも実に応用範囲が広く、
たいていの服装の上にでも気楽に羽織れるからです。
スポーティーのようであり、
そのくせドレッシーなスタイルの上に重ねて
違和感のない不思議なコートです。

ダブル前の6つボタンで、
両脇に大きなパッチ&フラップのポケットが付き、
背中には共地のハーフ・ベルトがあしらわれます。
色は伝統的にキャメル・カラーが多い。
これはその昔、本当にキャメルズ・ヘアー
(ラクダ地)の生地で
仕立てられることが多かったからです。

では、「昔」というのは、
いったい何時のことなのか。
1930年代の、アメリカにおいてなのです。
アメリカで、突然のようにポロ・コートが流行したのは、
1920年代のこと。
当時、ロング・アイランドで、ポロ競技が行われた。
この時、英国の選手が参加し
彼らが試合の前後に
このタイプのコートを着ていたのです。
「なんとまあ、カッコ良いのか」と
アメリカ人たちは思ったのです。
そして当然のように
“ポロ・コート”という名前を付けてしまった。
つまり“ポロ・コート”という名前自体は、
アメリカで命名されたものなのです。
ただし、現在ではイギリスでも
“ポロ・コート”と呼ぶことがあるのですが。

また一説には、
1910年頃にブルックス・ブラザーズが
英国からそれを輸入した時、
“ポロ・コート”と名づけた、
とも言われています。
いずれにしてもポロ・コートとアメリカは
深い関係で結ばれていることは間違いありません。

古くから英国で愛用されてきた
アルスター・コートが、
ポロ・コートの原型だろうと思います。
より正確にはアルスターレット
(より軽く、より着丈の短いアルスター)が
アメリカに伝えられて
“ポロ・コート”となったものでしょう。
それはともかく、ポロ・コートは
もっと見直されても良いコートではないでしょうか。


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