服飾評論家・出石尚三さんが
男の美学をダンディーに語ります

第496回
シルクの時期がやって来た

春になっていちばんにしたいことは、何ですか。
私は、素肌に直接、シャツを着たい。
もちろん時と場合によっては、
肌着なしにシャツを着る。
けれども冬の間はたいていTシャツを着、
その上にシャツを重ねることが多いのです。

春の陽気につれられて、Tシャツを脱ぐ。
シャツを素肌に着るに、絶好の機会でしょう。
では、どんなシャツがふさわしいのか。
どんなシャツであっても、
シャツを素肌に直(じか)に着ること自体が楽しい。
けれどもぜひ一度試して頂きたいのが、絹のシャツ。
たとえばシルクのスポーツ・シャツ。

上質のシルクのシャツを素肌に着ることほど、
気持の良いことは他にはないのではないか。
たぶんそう思えてくるほどです。
フラノのパンツにシルクのシャツ。
あるいはジーンズにシルクのシャツ
というコントラストも良いでしょう。
ただシルクと言っただけで、
女性物を想像しますか。
とんでもありません。
昔の紳士のシャツは麻か、
そうでなければ絹と決っていたものです。
女性がブラウスを常用するようになったのは、
ずっと後の時のことです。

シルクを直接に着ることの快感は、
めったに不機嫌にはならない、
という効果もあります。
イライラする人、怒りやすい人には、
とくにシルクのシャツを
直(じか)に着ることをおすすめします。
着る精神安定剤。
一度シルクの味を知ったらもう手放せませんし、
より良いシルク地が分るようになり、
欲しくなってくるものです。
シルクにもピンからキリまでがありますから。

シルクはクリーニング店に。
でも、シャツなら、
絹用洗剤とぬるま湯を使って、
手洗いにすることも可能です。
ハンガーにかけて、
半分ほど乾いたところで、
低い温度でアイロン掛けをすれば、
まったく問題なくきれいに仕上ります。

より美しく、より心地良くおしゃれをするためには、
多少の面倒も楽しみの一部なのです。


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